DNA結合剤の電子材料としての新しい機能を開拓 -抗がん剤が有機半導体材料になる-

ターゲット
公开日

崔旭鎮 工学研究科博士課程学生(現?韓国?POSTECH研究員)、関修平 同教授らの研究グループは、Fengjiao Zhang 米国?イリノイ大学アーバナーシャンペイン校博士研究員、Prapti Kafle 同博士課程学生、Ying Diao 同助教、Jér?me Cornil ベルギー?モンス大学グループリーダー、David Beljonne 同グループリーダーらと共同で、抗がん剤として用いられるDNA結合剤Ellipticine(エリプチシン)が高い電荷輸送特性を示し、有機半導体としても優れた材料となることを発見しました。

エリプチシンは有机半导体の必须の特徴であるπ共役性と、生体分子によく见られる水素结合性を併せ持つ分子です。一般に、水素结合を有する分子は高い热力学的な安定性を示すものの、电気伝导性の発现において重要な电子や正孔を注入した场合、水素结合の形成のもととなる官能基がそれらの电荷を捕まえてしまうことが多く、高い伝导特性はほとんど期待できませんでした。

本研究によって、水素结合はエリプチシン分子间の距离を着しく短缩しつつその固体构造を安定化し、电気伝导のための経路の构筑に十分に资することが明らかになりました。さらに、マイクロ波伝导性评価法を用いてエリプチシン配向固体中の异方的な电気伝导特性を非接触?非破壊で测定し、电気伝导に対するπ共役と水素结合の寄与を分离することに成功しました。また、本结果をもとに电界効果型トランジスタ素子を形成し、実际に异方伝导特性を伴って动作することを确认しました。

本研究は水素结合を介した有机半导体中の电子伝导を直接的に観测した初めての研究です。

本研究成果は、2019年9月16日に、国際学術誌「Nature Communication」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究で行った実験の概念図。左:贵笔-罢搁惭颁法、右:贵滨-罢搁惭颁法。

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Fengjiao Zhang, Vincent Lemaur, Wookjin Choi, Prapti Kafle, Shu Seki, Jér?me Cornil, David Beljonne & Ying Diao (2019). Repurposing DNA-binding agents as H-bonded organic semiconductors. Nature Communications, 10:4217.

  • 日刊工業新聞(9月24日 20面)に掲載されました。