小脳神経細胞の樹状突起で新規の学習原理を発見 -小脳プルキンエ細胞の樹状突起では、樹状突起の興奮性が入力の伝搬を決める-

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大槻元 白眉センター特定准教授は、小脳の主要な出力細胞であるプルキンエ細胞の樹状突起では、樹状突起のそれぞれの興奮性が異なることによって、シナプス後電流が細胞体にまで伝導されるか否かが調節されることを見出しました。さらに、「可塑性」と呼ばれる神経細胞の興奮性が変化するメカニズムによって、シナプス後電流の伝わりやすさが変化することが分かりました。

近年、小脳の学习机能のメカニズムとして可塑性が注目され、これまでに「シナプス可塑性」(シナプス単位の电気活动が変化する现象)と「兴奋性可塑性」(神経细胞レベルで活动电位発火が変化する现象)の2种类の可塑性の研究が进んできました。本研究では、プルキンエ细胞の细胞体と树状突起から同时にシナプス后电流を记録することで树状突起の兴奋性可塑性の役割を调べました。その结果、兴奋性可塑性が诱导されたり、カルシウム活性型カリウムチャネルの活性が抑えられた条件では、细胞体から远い树状突起(远位树状突起)へのシナプス入力が、効率よく细胞体まで伝导することが确认できました。さらに、同时记録したシナプス后电流の比を取る计算手法によって、プルキンエ细胞には平均4.5个のクラスター入力があり、その数は兴奋性可塑性とカルシウム活性型カリウムチャネルの抑制によって减少することが分かりました。これは、树状突起毎に伝わりやすさが异なっていたシナプス入力が、兴奋性可塑性が诱导されることによって全体として细胞体まで通过しやすくなったことを意味します。

本研究成果は、小脳にはこれまで知られていなかった兴奋性可塑性によるシナプス入力伝导の调节メカニズムが存在することを実証するもので、従来のシナプス可塑性に依存した小脳の学习理论との関わりをさらに検讨することが今后の课题です。

本研究成果は、2019年11月22日に、国際学術誌「Journal of Neuroscience」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

详しい研究内容について

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Gen Ohtsuki (2020). Modification of synaptic-input clustering by intrinsic excitability plasticity on cerebellar Purkinje cell dendrites. Journal of Neuroscience, 40(2), 267-282.