アブラナ科植物の新しい防虫機構の発見 -細胞小器官ERボディが支える新型カラシ油爆弾-

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西村いくこ 名誉教授(甲南大学特別客員教授)、山田健志 理学研究科研究員(現?ポーランド国ヤギェウォ大学主任研究員)らの研究グループは、アブラナ科植物が幼植物体と根を食植性動物から守るために獲得した新しい技(新型カラシ油爆弾)を発見しました。

この技では、细胞小器官贰搁ボディに蓄えられているグルコシダーゼが起爆酵素としてはたらき、忌避物质を放出します。この忌避物质は、わさびの匂いとして私たちにも身近なものです。この技は、食害を受けた植物细胞の応答反応です。外敌の攻撃を受けやすい幼植物体の表皮や常に土中の微生物の感染にさらされている根の表皮の细胞には、多数の贰搁ボディが配备されています。食害(伤害)により、贰搁ボディ(起爆酵素グルコシダーゼを集积)と液胞(カラシ油配糖体を集积)が破壊されると、酵素反応により忌避物质が放出されます。この匂いは食植性の昆虫などの小型动物を远ざける効果をもつことがわかりました。

贰搁ボディは、アブラナ科植物に特有の细胞小器官ですが、本研究では、たった2つの遗伝子( NAI2 BGLU23 )の导入により、アブラナ科以外の植物にも贰搁ボディを形成诱导することがわかりました。植物の进化の过程で、アブラナ科植物がこれらの2つの遗伝子を获得することで、贰搁ボディ依存的な化学防御机构をもつことができたと考えられます。

本研究成果は、2020年1月14日に、国際学術誌「Communications Biology」のオンライン版に掲載されました。

図:贰搁ボディ化学防御系(単细胞型のカラシ油爆弾)

详しい研究内容について

书誌情报

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Kenji Yamada, Shino Goto-Yamada, Akiko Nakazaki, Tadashi Kunieda, Keiko Kuwata, Atsushi J. Nagano, Mikio Nishimura & Ikuko Hara-Nishimura (2020). Endoplasmic reticulum-derived bodies enable a single-cell chemical defense in Brassicaceae plants. Communications Biology, 3:21.

  • 日本経済新聞(1月26日 30面)および読売新聞(2月2日 30面)に掲載されました。