先端メタボロミクスで高齢者のフレイル(虚弱)マーカーを発見 -フレイルの病態理解に貢献-

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近藤祥司 医学部附属病院准教授、亀田雅博 同医員、柳田充弘 名誉教授(沖縄科学技術大学院大学教授)、照屋貴之 沖縄科学技術大学院大学博士らの研究グループは、生きている細胞が合成?代謝する小さなメタボライト(低分子代謝物)を、質量分析器により網羅的計測する最先端技術「メタボロミクス」を用いた網羅的ヒト血液代謝物解析によって、高齢者のフレイルマーカー(診断や評価時に有効な目印)を同定しました。

高齢患者増加の社会背景とともに、「寝たきり予备群」と呼ばれる「フレイル(虚弱)」も増加倾向にあります。フレイルの要因は、筋力低下(サルコペニア)、认知症、心理的?社会的理由など复雑です。また、フレイルはヒト老化の复雑?多様性をも反映するため、多面的侧面を含む复合的疾患であり、その病态の代谢基盘の多くは谜のままでした。

本研究では、131个のメタボライトの中で、高齢者(平均84歳)のフレイル?非フレイル群を网罗的に比较検讨しました。従来とは异なり、认知机能検査を含むフレイル评価により、フレイルのサルコペニア以外の侧面にも注目しました。その结果、変化が観察された15个のメタボライトは、抗酸化物质や一部アミノ酸の减少などを含んでいることが分かりました。さらに认知机能や运动能を指标にした解析でも、一部重复あるいは独自のマーカーが见出されました。これらの中には、本研究グループが既に报告した老化で减少するもの(老化マーカー、2016年)や、飢饿マーカー(2019年)も含まれていました。

本研究成果は、认知机能低下を含むフレイルでの抗酸化物质や老化メタボライトの减少の重要性を示し、今后の临床応用の可能性を示唆するものです。

本研究成果は、2020年4月7日に、国际学术誌「笔狈础厂」のオンライン版に掲载されました。

図:本研究の概要図

详しい研究内容について

书誌情报

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Masahiro Kameda, Takayuki Teruya, Mitsuhiro Yanagida, and Hiroshi Kondoh (2020). Frailty markers comprise blood metabolites involved in antioxidation, cognition, and mobility. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 117(17), 9483-9489.

  • 日刊工業新聞(6月4日 19面)および読売新聞(4月22日 24面)に掲載されました。