豊川知华 生命科学研究科 博士課程学生、山野隆志 同講師、福澤秀哉 同教授の研究グループは、光合成により生じたデンプンの新たな机能を発见しました。
植物は太阳光のエネルギーを利用して二酸化炭素(颁翱 2 )を固定し、炭水化物(ショ糖やデンプン)を蓄积します。水中に生息する多くの藻类では、颁翱 2 の固定酵素がピレノイドと呼ばれる构造に集积し、光合成によって生じたデンプンがその周囲を取り囲む「デンプン鞘」と呼ばれる构造をとることが知られています。ピレノイドは、约200年前に発见され、今では颁翱 2 が欠乏する环境で光合成を维持するために必要とされていますが、贮蔵物质であるデンプンがピレノイドの周りに集まる意义については不明でした。
本研究グループは、モデル生物の緑藻クラミドモナスから、ピレノイドの周囲にデンプン鞘を形成できない変异株を调べました。そして、デンプン鞘が、ピレノイドから拡散して漏れ出る颁翱 2 の物理的な障壁となるだけでなく、漏れ出た颁翱 2 をリサイクルするタンパク质をデンプン鞘の周りに正しく配置するのに必要であり、デンプン鞘自身の构造が光合成の効率低下を防ぐ机能を持つことを発见しました。本研究は、贮蔵物质として教科书に记载されてきたデンプンの新しい机能的侧面を明らかにした成果であるとともに、藻类のピレノイドを陆上植物に导入し、作物の生产性向上につなげようとする応用研究の础となることが期待されます。
本研究成果は、2020年4月6日に、国際学術誌「Plant Physiology」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Chihana Toyokawa, Takashi Yamano, Hideya Fukuzawa (2020). Pyrenoid Starch Sheath Is Required for LCIB Localization and the CO2-Concentrating Mechanism in Green Algae. Plant Physiology, 182(4), 1883-1893.