シカの角の枝の相同関係と進化史を解明 -角溝とダイヤグラムを用いた新たな手法-

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鮫島悠甫 理学研究科修士課程学生 (研究当時)、松岡廣繁 同助教は、「角溝」と呼ばれるシカの角表面に並行的に走る多数のスジに着目し、角の諸構造と頭蓋骨との相対的な位置関係を示す同心円状の「ダイヤグラム」を開発しました。そして、このダイヤグラム上において、複数種間で位置関係が等しいものを相同な構造と認定し、相同な枝には名称を与えた上で、分子系統樹上において、枝の進化の歴史を復元しました。

枝角はシカを特徴付ける象徴的な部位です。形态的多様性が高く、化石としてもよく产出します。そのため、化石种のシカは、主に角を用いて分类されてきたのですが、枝角の分岐构造、すなわち、各枝の相同関係を解剖学的に决定する方法がありませんでした。

本研究の结果、多くの种で相同な枝が特定され、复数の分类群で系统を反映する相同な枝が明らかになるなど、角の形态と系统分类との関係について、いくつもの重要な知见が得られました。本研究で系统进化と角の形态的特徴の関係史が描けたことで、将来的には、化石种を含めて、シカ科全体の歴史が明らかにされることが期待されます。

本研究成果は、2020年6月2日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

详しい研究内容について

书誌情报

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Yuusuke Samejima & Hiroshige Matsuoka (2020). A new viewpoint on antlers reveals the evolutionary history of deer (Cervidae, Mammalia). Scientific Reports, 10:8910.