「冬水たんぼ」が水質保全に貢献することを解明 -冬季湛水により水田からのリンの流出が平均して26%低下-

ターゲット
公开日

奥田昇 生態学研究センター准教授は、広島大学、総合地球環境学研究所らと共同で、実験室で疑似的な水田環境を再現し、 水田における环境に配虑する农业の方法である 「冬水たんぼ」が水质保全に贡献することを解明しました。

水を巡る环境の保全には、周辺の河川に水を供给する水田も大きな影响をもたらしています。现在、「冬水たんぼ」という农法が全国的に行われています。冬水たんぼとは、冬の间乾いた土地になっている水田に灌漑水を贮めておく农法のことで、湿地を利用する生物に生息地や产卵场所を提供し、その多様性を回復させることが报告されています。一方、冬水田んぼによって水田の状态が変わることで、流域环境の水质などに及ぼす影响はこれまでほとんど调べられてきませんでした。

そうした中、本研究グループは、実験室で疑似的な水田环境を再现し、冬水たんぼが水田から流れ出る栄养分、特に河川や湖沼などの富栄养化の主要因である「リン」の流出を调べました。その结果、冬水たんぼを行うことで水田からのリンの流出を平均して26%低下させる効果があることがわかり、生物多様性保全に限らず水质などの环境保全に関连した农业支援事业の枠组みへの冬水田んぼの有用性が示唆されました。

本研究成果は、2020年4月24日に、国际学术誌「尝颈尘苍辞濒辞驳测」のオンライン版に掲载されました。

図:表面水のリン浓度の変化

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

Takuya Ishida, Yoshitoshi Uehara, Tohru Ikeya, Takashi F. Haraguchi, Satoshi Asano, Yohei Ogino & Noboru Okuda (2020). Effects of winter flooding on phosphorus dynamics in rice fields. Limnology, 21(3), 403-413.