田中耕一郎 理学研究科 教授(高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)連携主任研究者)、中暢子 同准教授、挾間優治 同博士課程学生、市井智章 同博士課程学生(研究当時)の研究グループは、広帯域テラヘルツ時間領域分光法を用いて、ダイヤモンドにおける励起子と自由キャリア間の平衡定数の精密測定に成功しました。
ダイヤモンドは、従来の半导体には见られない优れた物理特性(高い热伝导率?絶縁破壊电圧など)を有しています。このため、次世代のパワーデバイスや深紫外ダイオードとしての応用に期待が集まっています。従来の半导体(厂颈や骋补础蝉など)においては、电子とホールが束缚状态を形成して中性状态となった「励起子」はイオン化エネルギーが小さいため常温では不安定であり、デバイス设计には现れてきませんでした。しかし、ダイヤモンドは励起子が室温でも安定に存在するために、电场では駆动できない中性状态の「励起子」の存在はデバイス设计で无视することができません。そのためには、ダイヤモンドにおけるキャリア?励起子の基础的な理解は不可欠ですが、不明な点が多いのが现状です。例えば、キャリアの输送特性に大きく関わる自由キャリア?励起子间の平衡定数は、従来の発光测定では精密に评価することは难しく、正确な値はわかっていませんでした。
本研究グループは、近年、自由キャリアと励起子の平衡定数の决定に有力视されていた、広帯域テラヘルツ时间领域分光法を用いることで、平衡定数の精密测定に成功しました。これにより、様々な温度?密度に対し、自由キャリアと励起子の存在比率が予测でき、ダイヤモンドのデバイス设计?性能向上の指针に大きく贡献します。
本研究成果は、 2020年6月9日に、 国際学術誌「Applied Physics Letters」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
T. Ichii, Y. Hazama, N. Naka, and K. Tanaka (2020). Study of detailed balance between excitons and free carriers in diamond using broadband terahertz time-domain spectroscopy. Applied Physics Letters, 116(23):231102.