近藤祥司 医学部附属病院准教授、三河拓己 医学研究科研究員らの研究グループは、発癌における解糖系代謝亢進において、解糖系酵素ホスホグリセリン酸ムターゼ(PGAM)と結合する蛋白が重要であることを解明しました。
近年の抗癌剤は、癌の特性に注目して开発された「分子标的薬」が主流です。癌细胞では解糖系代谢が亢进し(ワ―ルブルグ効果と呼ぶ)、解糖系代谢を标的とした抗癌剤治疗の可能性は古くから指摘されていました。しかし、解糖系代谢は通常细胞でも重要なエネルギー供给の代谢経路であり、単なる解糖系代谢阻害剤は副作用が大きく実用化できていませんでした。
本研究では、癌细胞では、笔骋础惭とシグナル伝达因子である颁丑办1キナーゼがよく结合し、协调的に解糖系代谢を制御することを见出しました。逆に笔骋础惭と颁丑办1の结合を阻害すると癌の増殖や解糖系代谢が低下しました。そして、笔骋础惭と颁丑办1の结合による解糖系代谢亢进には、笔骋础惭の酵素活性は関与しませんでした。以上より、癌特有のワールブルグ効果の分子机构を解明し、副作用の少ない解糖系代谢调整薬の开発の道を开きました。今回见出された「笔骋础惭の非酵素活性」により、通常细胞の解糖系には影响の少ない形で、癌でのワールブルグ効果阻害剤の开発が期待できます。
本研究成果は、2020年6月24日に、国际学术誌「颈厂肠颈别苍肠别」に掲载されました。
図:本研究の概要図
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】
Takumi Mikawa, Eri Shibata, Midori Shimada, Ken Ito, Tomiko Ito, Hiroaki Kanda, Keiyo Takubo, Matilde E. Lleonart, Nobuya Inagaki, Masayuki Yokode, Hiroshi Kondoh (2020). Phosphoglycerate Mutase Cooperates with Chk1 Kinase to Regulate Glycolysis. iScience, 23(7):101306.