西尾治幾 生態学研究センター研究員、工藤洋 同教授らの研究グループは、植物の季節的な応答における遺伝子の働きは、動物の胚発生や細胞のガン化と共通の仕組みで制御されていることを明らかにしました。
细胞の中で顿狈础を巻きつけているヒストンタンパク质には、しばしばメチル化などの化学的な修饰がつきます。修饰の种类によって、そこにある遗伝子は活性化されたり抑制されたりします(それぞれ活性型ヒストン修饰、抑制型ヒストン修饰と呼びます)。
本研究グループは、日本に自生するアブラナ科の植物ハクサンハタザオの自然集団を対象として、全遗伝子においてヒストン修饰の経时変化を调べました。その结果、多くの遗伝子で、抑制型ヒストン修饰は长期的には変化するが、短期的には変化しないことがわかりました。また、抑制型ヒストン修饰は、活性型ヒストン修饰の后を追うように、少し遅れて季节的に変化することがわかりました。动物の胚発生においても、抑制型ヒストン修饰は、活性型ヒストン修饰から遅れて変化することが报告されています。したがって、この抑制型ヒストン修饰の「ゆっくりとした」変化は、时间のかかる生物の応答に共通の仕组みであると考えられます。本研究によって、植物においても、季节によってそれぞれの遗伝子のヒストン修饰を変えることにより、活発に働いている遗伝子セットを调节していることが明らかとなりました。
本研究成果は、2020年9月1日に、国際学術誌「Nature Plants」に掲載されました。
図:本研究の概要図
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Haruki Nishio, Atsushi J. Nagano, Tasuku Ito, Yutaka Suzuki & Hiroshi Kudoh (2020). Seasonal plasticity and diel stability of H3K27me3 in natural fluctuating environments. Nature Plants, 6(9), 1091-1097.