野原紗季 工学研究科博士課程学生、岡本亮 同准教授、竹内繁樹 同教授は、藤原彰夫 大阪大学教授と共同で、時間的に変化する量子状態を推定できる「連続適応量子状態推定」を提案、シミュレーションおよび実験で、物理学の限界の精度で推定できることを実証しました。
光子や电子などの「量子」を自在に制御する「量子技术」が大変注目されています。「量子」は、古典力学的な「粒」とは异なり、异なる状态の「重ね合わせ」状态をとります。それらの量子を1回测定すると、それら异なる状态の何れかとして検出されるため、1回の测定では、どのような「重ね合わせ状态」にあるかを知ることはできません。そのため、できるだけ少ない个数のサンプルにより、正确にその量子状态を推定することは、非常に重要ですが、従来手法では最适な推定は実现できていませんでした。以前に竹内教授らの研究グループは、この问题に対して、量子1つ1つの计测结果に応じて毎回「测定方法」を最适化する适応的な推定方法(适応量子状态推定)を、光子を用いた実験で実証しましたが、対象は时间的に変化しない特殊な量子状态に限られており、通常推定の対象となる、时々刻々と変化する量子状态には用いることができませんでした。
今回提案した连続适応量子状态推定は、光子に限らず、电子や核スピンなど多様な量子系に用いることができます。本研究成果を用いると、より少ない个数のサンプルで、正确に量子状态を推定することができるため、微弱な信号や、高速な现象を捉えることが可能になります。今后、量子技术はもちろん、天体観测や生体光计测まで広い领域にわたって役立つことが期待されます。
本研究成果は、2020年9月9日に、国際学術誌「Physical Review A:Rapid Communications」に掲載されました。
図:连続适応量子状态推定のイメージ図
详しい研究内容について
书誌情报
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Saki Nohara, Ryo Okamoto, Akio Fujiwara, and Shigeki Takeuchi (2020). Adaptive quantum state estimation for dynamic quantum states. Physical Review A, 102(3):030401.