福島慶太郎 生態学研究センター研究員、久保田智大 茨城大学修士課程学生(研究当時)、堅田元喜 同講師(研究当時)、国立環境研究所、気象研究所、森林総合研究所らの研究グループは、茨城県の霞ケ浦流域における調査により、同流域の大気中アンモニア濃度が季節風の影響によって空間的に不均一となり、とくに冬季に高くなることを明らかにしました。
流域の农业?畜产に由来する养分(窒素やリン)の河川などを通じた湖沼への流入が进むと、湖沼のアオコなどが発生しやすくなる富栄养状态となることから、茨城県霞ヶ浦流域でも窒素化合物の流入を减らすためのさまざまな対策が行われてきました。しかし、この他にも、大気を介した窒素流入プロセスとして、大気中アンモニア(狈贬 3 )などの反応性の高い窒素化合物が植物の叶や湖沼水面に吸着?吸収(沉着)することが知られていますが、その実态は国内ではほとんど调査されていませんでした。
そこで本研究グループは、霞ヶ浦流域の36地点に大気サンプラーを设置し、そのうち17地点で最长1年4か月にわたって大気中アンモニア浓度を観测しました。その结果、夏季よりも冬季に农地と湖上で大気中アンモニア浓度が増大するという结果が得られました。アンモニアの排出源である农地や堆肥舎からは、通常、夏季に挥発しやすいと考えられていましたが、この结果はその従来からの知见を覆すものです。日本の特徴ともいえる秋から冬にかけての农地への堆肥散布と、北寄りの季节风によって高浓度の大気中アンモニアが霞ヶ浦の湖上に流されたことが要因と考えられます。
本研究成果は、湖沼の富栄养化の対策のために、大気中アンモニアの挥散と移流をモニタリングする必要性を示すものです。こうしたモニタリングは、霞ヶ浦に留まらず、アジア诸国でも农业活动によるアンモニア排出源が主であることから、これらの地域での农业生产と湖沼环境の保全を両立する上で重要なものといえます。
本研究成果は、2020年8月26日に、国際学術誌「Atmospheric Environment」のオンライン版に掲載されました。
図:霞ヶ浦流域におけるアンモニア排出量の推计マップ(贰础骋谤颈诲2000データセット)とサンプリング地点
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
T. Kubota, H. Kuroda, M. Watanabe, A. Takahashi, R. Nakazato, M. Tarui, S. Matsumoto, K. Nakagawa, Y. Numata, T. Ouchi, H. Hosoi, M. Nakagawa, R. Shinohara, M. Kajino, K. Fukushima, Y. Igarashi, N. Imamura, G. Katata (2020). Role of advection in atmospheric ammonia: A case study at a Japanese lake basin influenced by agricultural ammonia sources. Atmospheric Environment, 243:117856.