神経幹細胞の運命を決める分子を発見 -脳形成機構の解明と脳腫瘍や精神疾患の治療法に期待-

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武内章英 医学研究科准教授、萩原正敏 同教授らの研究グループは、九州大学、名古屋大学と共同で、神経幹細胞の運命を制御する分子としてRNA結合タンパク質「Qk(quaking)」を発見し、その制御メカニズムを明らかにしました。

ヒトの脳は大きく分けて神経细胞とグリア细胞という2种类の细胞から构成されており、神経细胞は神経回路を形成し、グリア细胞は脳の构造や机能の维持を行っています。この2种类の细胞は神経干细胞という脳内の未分化な万能细胞からそれぞれ生み出されます。胎児期に脳が作られる段阶で、神経干细胞は最初神経细胞だけを作り(神経新生)、その后グリア细胞だけを作る(グリア新生)ことが知られていますが、どのようなメカニズムで神経干细胞が产生する细胞种を大きく切り変えるのか长年の谜でした。

神経干细胞の运命を决めるメカニズムの解明は、脳の形成机构の理解を大きく进め、颈笔厂细胞等から脳の细胞を人為的に诱导することに応用できる成果です。さらに、蚕办の遗伝子変异は悪性の脳肿疡である神経胶芽肿や精神疾患の统合失调症などに多く认められており、これらが神経干细胞の分化异常により起こる可能性が示唆されることから、原因不明の疾患の解明と治疗方法の开発につながる成果です。

本研究成果は、2020年9月25日に、国際学術誌「Stem Cell Reports」に掲載されました。

図:本研究の概要図

详しい研究内容について

书誌情报

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Akihide Takeuchi, Yuji Takahashi, Kei Iida, Motoyasu Hosokawa, Koichiro Irie, Mikako Ito, J. B. Brown, Kinji Ohno, Kinichi Nakashima, Masatoshi Hagiwara (2020). Identification of Qk as a Glial Precursor Cell Marker that Governs the Fate Specification of Neural Stem Cells to a Glial Cell Lineage. Stem Cell Reports, 15(4), 883-897.

  • 日刊工業新聞(9月25日 37面)に掲載されました。