価値と運動を表す脳の化学信号を線条体で発見 -新手法で迫る電気と化学の相互作用-

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雨森賢一 高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)特定拠点准教授、雨森智子 同研究員、Helen Schwerdt マサチューセッツ工科大学博士、Ann Graybiel 同教授らの研究グループは、神経振動を表す脳の電気信号とドーパミン濃度を表す化学信号を同時に計測する技術を開発しました。

脳のドーパミン低下は、运动や気分の障害を伴うパーキンソン病を引き起こすことが知られています。パーキンソン病では、大脳基底核の线条体においてベータ波と呼ばれる神経振动の亢进が见られることから、これまでは、ベータ波はドーパミンと逆相関する、と単纯に捉えられてきました。本研究では、行动课题遂行中のマカクザルのベータ波とドーパミン信号を同时に记録し、ベータ波とドーパミンの逆相関が、尾状核では期待报酬などの価値に依存して现れ、被殻では运动に依存して现れることを明らかにしました。つまり、ベータ波とドーパミンの逆相関は一様なものではなく、神経核の机能と関连して现れることがわかりました。この新しい知见は、パーキンソン病の诊断と治疗のための新しい指针となるものと期待されます。

本研究成果は、2020年9月26日に、国際学術誌「Science Advances」に掲載されました。

図:本研究の概要図

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

H. N. Schwerdt, K. Amemori, D. J. Gibson, L. L. Stanwicks, T. Yoshida, N. P. Bichot, S. Amemori, R. Desimone, R. Langer, M. J. Cima and A. M. Graybiel (2020). Dopamine and beta-band oscillations differentially link to striatal value and motor control. Science Advances, 6(39):eabb9226.