高強度テラヘルツ光パルス照射によって変化するヒトiPS細胞内の遺伝子ネットワークを発見 -iPS細胞操作技術に新しい「光」を-

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亀井謙一郎 高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)准教授、廣理英基 化学研究所 准教授(兼?颈颁别惭厂连携准教授)、坂口怜子 工学研究科 助教(兼? CeMS 连携助教)、立崎武弘 东海大学 讲师(兼? iCeMS 客员讲师)らの研究グループは、高强度のテラヘルツ光パルスをヒト颈笔厂に照射すると、细胞の中で発现量が変化する遗伝子ネットワークが存在することを発见しました。

颈笔厂细胞はあらゆる细胞に分化する可能性を持った多能性干细胞で、再生医疗や创薬への応用が研究されていますが、望みの机能を持つ细胞に自在に変化させるための引き金となる遗伝子発现を制御する技术は确立されていません。

一方で、近年、高强度テラヘルツ光パルスの照射により、细胞の応答が変化する现象が报告され注目されています。しかし、その応答の変化を引き起こす机构はあまり理解されていませんでした。本研究では、世界最高レベルの强度を持つテラヘルツパルスを颈笔厂细胞に照射し、照射の有无による细胞内の遗伝子発现の量の変化を网罗的に解析したところ、発现が亢进する遗伝子ネットワークと抑制される遗伝子ネットワークが存在することを初めて発见しました。さらに、発现が変化した遗伝子の上流では亜铅イオン依存的な転写因子が多数存在することを突き止めました。本研究によって、高强度テラヘルツパルスを细胞に照射することで、细胞に接触せず、损伤を与えずに细胞内の遗伝子の発现パターンを変化させることができることがわかり、テラヘルツパルスで多能性干细胞の运命を自在に操作する技术の开発につながると期待されます。

本研究成果は、2020年9月24日に、国際学術誌「Optics Letters」に掲載されました。

図:今回開発した装置では、iPS細胞にテラヘルツ光を効果的に照射することが可能です。照射実験の結果、テラヘルツ光が亜鉛依存性の転写因子の影響を受ける遺伝子を活性化したり不活性化したりすることがわかりました。((c)高宮ミンディ/京都大学アイセムス(CC BY-NC-SA 4.0))

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

Takehiro Tachizaki, Reiko Sakaguchi, Shiho Terada, Ken-ichiro Kamei, and Hideki Hirori (2020). Terahertz pulse-altered gene networks in human induced pluripotent stem cells. Optics Letters, 45(21), 6078-6081.