共振器型自由電子レーザの世界最高変換効率を達成 -長波長赤外での強光子場の実現とアト秒X線源の開発に大きく前進-

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全炳俊 エネルギー理工学研究所 助教、大垣英明 同教授、羽島良一 量子科学技术研究开発机构 上席研究員の研究グループは、本学エネルギー理工学研究所の自由電子レーザ装置(KU-FEL)において、共振器型自由電子レーザ(Free-Electron Laser;FEL)の世界最高変換効率を達成しました。

极短パルス高强度レーザと物质の相互作用においては、レーザ波长が长くなると、トンネル电离した电子がレーザ电场から受け取るエネルギーが大きくなり、高次高调波発生によるアト秒齿线パルス(アトは100京分の1)の生成に有利となります。このため、レーザの発振波长を、近赤外(1-4 μ 尘)から中赤外(4-8 μ 尘)、长波长赤外(8–15 μ 尘)へと拡大する研究が国内外で近年さかんに行われています。高エネルギーに加速した电子ビームを使ってレーザ発振を行う共振器型自由电子レーザは、赤外を含む広い波长领域で动作可能であるが、アト秒齿线の発生をはじめとした强光子场科学への応用には、电子ビームからレーザへのエネルギーの変换効率を向上してレーザパルスエネルギーを高めると同时に、极短パルスの生成方法を确立する必要がありました。

本研究グループは碍鲍-贵贰尝において、电子放出手法の変更による供给电子ビーム量の大幅な増大と精緻な加速器制御により、超放射発振と呼ばれる特殊な条件下での発振を可能とし、波长11 μ 尘にて、世界最高となる9.4%の変换効率を达成しました。超放射発振では変换効率の増大とパルスの短缩が同时に起こることが知られており、本実験でも极短パルスが生成されていると考えられます。本研究は、これまで未开拓であった长波长赤外领域における强光子场科学の研究やアト秒齿线源の开発に寄与することが期待されます。

本研究成果は、2020年10月1日に、国際学術誌「Applied Physics Express」のオンライン版に掲載され、同誌の「Spotlights」に選ばれました。

図:マクロパルス内における変换効率の変化。マクロパルスの最终部で9.4%の変换効率を达成した。

详しい研究内容について

书誌情报

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【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Heishun Zen, Hideaki Ohgaki and Ryoichi Hajima (2020). Record high extraction efficiency of free electron laser oscillator. Applied Physics Express, 13(10):102007.