高林純示 生态学研究センター教授、上船雅義 名城大学准教授、安部順一朗 農業?食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター上級研究員、塩尻かおり 龍谷大学准教授、浦野知 株式会社ペコIPMパイロット代表、長坂幸吉 農研機構中央農業研究センターグループ長らの研究グループは、ハウス栽培のミズナを対象に、アブラナ科葉菜類の害虫「コナガ」によって食害された植物が放出する香りのブレンドを人工的に作成した天敵誘引剤と、天敵への給餌容器をハウス内に設置することで、土着天敵である「コナガサムライコマユバチ」を周辺により誘引し、ハウスにおけるコナガ発生率を抑制できることを実証しました。
植物は、植食性昆虫(害虫)から食害を受けると特异的な香りを放出し、その天敌(捕食者や寄生蜂など)を诱引することで身を守ることができます。害虫の食害を受けた植物(被害植物)の香りのブレンドは、害虫の种によって変化します(香りの害虫特异性)。さらに天敌はその変化に対応して、特定のブレンドに诱引される场合があります。
本研究グループは、この害虫特异性に注目し、その応用の可能性をアブラナ科野菜の重要害虫のコナガを标的にして研究しました。これまでにコナガが食害したキャベツが放出する香り成分中の4成分をブレンドすることで、コナガの土着天敌であるコナガサムライコマユバチを诱引できることを报告しました。本研究では、4成分を剤形化した天敌诱引剤と、诱引した天敌をハウス内で维持するための给饵容器を用いた実証试験を行いました。その结果、ハウスの周辺环境のコナガサムライコマユバチを诱引?给饵することで、ハウスにおけるコナガ発生率を半分程度以下に抑制できました。この成果は、食害植物の香りの特异性と土着天敌を利活用し、标的害虫の管理に世界で初めて成功したものです。
本研究成果は、2020年11月11日に、国際学術誌「Royal Society Open Science」のオンライン版に掲載されました。

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Masayoshi Uefune, Junichiro Abe, Kaori Shiojiri, Satoru Urano, Koukichi Nagasaka and Junji Takabayashi (2020). Targeting diamondback moths in greenhouses by attracting specific native parasitoids with herbivory-induced plant volatiles. Royal Society Open Science, 7(11):201592.