ピーター?カールトン 生命科学研究科准教授(兼?高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)連携主任研究者)らの研究グループは、モデル生物線虫を用いて、人間まで保存された HORMAドメインタンパク質(HIM-3)のリン酸化が、正常な精子と卵子の形成を促すことを示しました。
出产の高齢化が进む现代社会では、适齢期夫妇の约15%が不妊问题を抱えると言われており、その多くのケースで原因となる不妊因子は特定されていません。このため、正常な精子、卵子を生み出すメカニズムの理解は、重要な研究课题です。精子、卵子を生み出す细胞分裂は、减数分裂と呼ばれる特殊な分裂で、その分子メカニズムには多くの谜が残されています。减数分裂では、母方と父方から受けついだ染色体を、2回连続して切り离すことにより、细胞に含まれる顿狈础の数を半分にします。二段阶で染色体を分离する际、细胞は、染色体をどの部分で切り离すかというのを前もって决めておき、秩序立って分离しなければいけません。このとき、细胞が、どのように染色体の分离面を决めているのか、という谜はこれまで未解决のままでした。
本研究は、贬滨惭-3と呼ばれる、人间まで保存されたタンパク质が、减数分裂前期の初めにリン酸化を受け、そして、分裂の直前に、染色体の特定の领域で脱リン酸化されることが、染色体の分离面の确立に贡献していることを発见しました。贬滨惭-3は、精子または卵子になる前駆细胞にのみ存在し、染色体を束ねる轴をつくるタンパク质群の一员です。本研究より、减数分裂では、染色体の轴タンパク质を制御することが、正しい染色体の分离、そして正常な精子と卵子の形成を促すことがわかりました。
本研究成果は、 2020年11月11日に、国際学術誌「PLoS Genetics」のオンライン版に掲載されました。

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Aya Sato-Carlton, Chihiro Nakamura-Tabuchi, Xuan Li, Hendrik Boog, Madison K. Lehmer, Scott C. Rosenberg, Consuelo Barroso, Enrique Martinez-Perez, Kevin D. Corbett, Peter Mark Carlton (2020). Phosphoregulation of HORMA domain protein HIM-3 promotes asymmetric synaptonemal complex disassembly in meiotic prophase in Caenorhabditis elegans. PLOS Genetics, 16(11):e1008968.