微生物やその細胞壁成分の葉面散布による酒米の増収に成功 -メタノールを原料に生産した微生物製剤を出穂後1度の散布で-

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 由里本博也 農学研究科准教授、阪井康能 同教授らの研究グループは、白鶴酒造株式会社、岡山大学と共同で、食糧と競合しない炭素資源で安価なメタノールを原料として生産した微生物(メタノール細菌)の死菌体または細胞壁成分を、出穂後のイネ地上部にスプレー散布することで、酒造好適米(酒米)の収量を増加させることに成功しました。

 近年、生きたメタノール细菌の种子への接种や叶面散布による蔬菜の生产性向上は知られていましたが、イネなどの穀类の増収については、特に大规模商业圃场での成功は初めてです。

 本研究グループは、まず実験室レベルで、様々なメタノール细菌とイネ品种の组合せ、使用菌株や散布时期の最适化などの栽培试験を行った后、商业圃场において、5年间、安定的に増収効果があることを示しました。さらに、死菌体や细胞壁多糖成分についても、出穂后1回の叶面散布のみで、登熟歩合向上と単位収量増加がありました。微生物生产の原料であるメタノールは、食粮资源とは竞合しない天然ガスから生产され、资源循环型社会の基干物质として注目されています。安価なメタノールを原料として微生物製剤を安価に生产可能で、1回の散布でよいことから、今后は、他のイネの品种や他の穀类の増产に向けて大规模利用が期待できます。

 本研究成果は、2020年12月10日に、国際学術誌「Microbial Biotechnology」に掲載されました。

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図:本研究の概要図
研究者情报
研究者名
由里本博也
研究者名
阪井康能
书誌情报

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Hiroya Yurimoto, Hiroyuki Iguchi, Do Thi Di Thien, Akio Tani, Yutaka Okumoto, Atsushi Ota, Takahiro Yamauchi, Takahiro Akashi, Yasuyoshi Sakai (2020). Methanol bioeconomy: promotion of rice crop yield in paddy fields with microbial cells prepared from natural gas‐derived C 1 compound. Microbial Biotechnology.

メディア掲载情报

日本農業新聞(2月1日 7面)および読売新聞(2月7日 34面)に掲載されました。