ジェームズ?ブルークス 野生动物研究センター博士課程学生、狩野文浩 同特定准教授、山本真也 高等研究院准教授らの研究グループは、ヒトに最も近縁な2種であるボノボとチンパンジーにオキシトシンを噴霧投与したときに、他者の目を見つめる行動(アイ?コンタクト)に特定の変化が生じることを見出しました。
オキシトシンは哺乳类において养育行动や繁殖行动などに作用するホルモンおよび神経ペプチドです。ヒトの大人や子供、イヌや旧?新世界ザルを対象に行った先行研究によって、これを吸引することで、他者への亲和的行动の一つであるアイ?コンタクトの频度が上昇するなどの行动変化が生じることが知られています。しかし、ボノボやチンパンジーのような、ヒトに近縁な霊长类2种において同様に作用するのか、异なるように作用するのか、その点が明らかではありませんでした。
本研究ではこの点を検讨するため、ボノボとチンパンジーを対象に、オキシトシンの喷雾投与実験を行いました。実験では、オキシトシンを喷雾投与する条件と、プラシーボである生理的食塩水を喷雾投与する条件のそれぞれにおいて、投与后に、同种の写真を见せ、それを见る视线をアイ?トラッカーで记録しました。その结果、ボノボは写真の目を见る时间がより长くなり、チンパンジーは逆に、写真の口を见る时间がより长くなる倾向が认められました。つまり、喷雾投与されたオキシトシンは、ボノボとチンパンジーで异なるように作用しました。
本研究の结果は、オキシトシンがボノボにおいては先行研究におけるヒトやイヌ、サルのように、亲和的行动の一つであるアイ?コンタクトを上昇させること、一方でチンパンジーにおいては、それとは异なる(逆の)作用をすることを示唆しています。すなわち、オキシトシンの効果には种差が认められるのです。この结论は、オキシトシンが、ヒトを含む大型类人猿の社会性と行动の多様な进化において、重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。
本研究成果は、2020年12月21日に、国际学术誌「笔蝉测肠丑辞苍别耻谤辞别苍诲辞肠谤颈苍辞濒辞驳测」のオンライン版に掲载されました。

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James Brooks, Fumihiro Kano, Yutaro Sato, Hanling Yeow, Naruki Morimura, Miho Nagasawa, Takefumi Kikusui, Shinya Yamamoto (2021). Divergent effects of oxytocin on eye contact in bonobos and chimpanzees. Psychoneuroendocrinology, 125:105119.