ダイヤモンド量子センサ、室温で感度を維持しつつ計測範囲を低温従来値の100倍にすることに成功 -量子センサの応用環境や測定空間を広げる成果-

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 水落宪和 化学研究所教授、E. D. Herbschleb 同特定助教、加藤宙光 産業技術総合研究所主任研究員らの研究グループは、新たな独自アルゴリズムを用い、リンドープn型ダイヤモンド中のNV中心量子センサによる磁場計測において、既存のダイナミックレンジを桁違いに広げることに成功しました。このダイナミックレンジは、単一NV中心を用いた量子センサとしては世界最高値です。

 今回の単一狈痴中心を用いた结果を踏まえると、狈痴中心の数を増やした集団の计测では高感度化により更なる広いダイナミックレンジを実现できます。他の超伝导量子干渉计や光ポンピング磁力计などの超高感度センサの中には、ダイナミックレンジが非常に狭いセンサもあります。今回考案した手法はパルス手法を用いた他の量子センサにも适用できるため、量子センサの计测范囲を、感度を维持しつつ広げた今回の成果は、量子センサの応用环境を広げる成果として期待されます。また、测定対象物との间の相互作用の大きさは距离に大きく依存するため、今回の成果は测定空间の领域を広げることにもつながると期待されます。

 狈痴中心は高感度な量子センサとしての応用が期待されていますが、従来の量子センサでは、高感度化とダイナミックレンジを広げることを両立することに难点がありました。今回、パルス间隔の异なるパルス系列を组み合わせ、それをベイズ推定によるアルゴリズムにより最适化することにより、高い感度を维持しつつ、室温における単一狈痴中心において7桁程度のダイナミックレンジを実现しました。これは単一狈痴中心の低温(8碍)における最高报告値より、2桁も広い値です。また、パルス间隔の异なるパルス系列を组み合わせた研究では、测定时间に対する感度の依存性が古典での限界を超えるようにも见られる结果も报告され、学术的に関心が持たれていましたが、今回本研究グループはこの现象についてもシミュレーションにより现象の解明を行いました。

 本研究成果は、2021年1月12日に、国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

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図:(a) ダイヤモンド中のNV(窒素―空孔)中心の構造。(b) 今回の手法による測定結果(青点)と既存の手法の結果(緑点)の比較図。
研究者情报
研究者名
水落宪和
研究者名
E. D. Herbschleb
书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

E. D. Herbschleb, H. Kato, T. Makino, S. Yamasaki & N. Mizuochi (2021). Ultra-high dynamic range quantum measurement retaining its sensitivity. Nature Communications, 12:306.  

メディア掲载情报

日刊工業新聞(1月13日 25面)に掲載されました。

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