チンパンジーは外集団の脅威に対して仲間の結束を高めることを解明 -戦争と協力の共進化の可能性-

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 ジェームズ?ブルークス(James Brooks)野生动物研究センター修士課程学生、山本真也 高等研究院准教授らの研究グループは、チンパンジーに知らない個体の音声を聞かせると、仲間同士の距離が縮まり、集団性が高まることを見出しました。

 集団外の胁威に対して、集団内の结束を高めて対抗する戦略であると考えられ、集団间の竞合関係と集団内の协力関係が共进化してきた可能性が示唆されました。実际、集団の外からの胁威に直面すると、ヒトも集団としてのまとまりを强化し、集団内の协力関係は高まると言われています。このような性质がどのように进化してきたかを解明することは、私たちヒトの正と负の両面をよりよく理解し、平和共存社会の実现に向けた方略を考えるうえでも非常に重要です。

 本研究では、进化の隣人であるチンパンジーを対象に、异なる集団との出会い场面を想起させる状况を作り出すため、见知らぬチンパンジーの音声を饲育チンパンジーの集団に闻かせ反応を调べました。その结果、チンパンジーは知らない个体の声に反応して紧张し警戒しますが、同时に个体间距离が缩まり亲和的な行动が増えるといった集団内の结束が高まることが明らかになりました。ヒトと同様の反応がチンパンジーでもみられることを、统制された実験を通して実証的に明らかにした最初の研究です。

 本研究成果は、2021年2月25日に、国際学術誌「PLOS ONE」に掲載されました。

図:チンパンジーにとって、異なる集団というのは敵対する脅威となる。飼育のチンパンジー集団に知らない個体の声を聞かせると、集団内の結束が強くなることが個体間近接度や親和行動の分析から明らかとなった。(写真撮影:野上悦子 京都大学熊本サンクチュアリ)
図:図:チンパンジーにとって、异なる集団というのは敌対する胁威となる。饲育のチンパンジー集団に知らない个体の声を闻かせると、集団内の结束が强くなることが个体间近接度や亲和行动の分析から明らかとなった。(写真撮影:野上悦子 京都大学熊本サンクチュアリ)
研究者情报
研究者名
山本真也
研究者名
James Brooks
书誌情报

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 James Brooks, Ena Onishi, Isabelle R. Clark, Manuel Bohn, Shinya Yamamoto (2021). Uniting against a common enemy: Perceived outgroup threat elicits ingroup cohesion in chimpanzees. PLOS ONE, 16(2):e0246869.