李垂範 工学研究科特定研究員、白石诚司 同教授らの研究グループはTDK株式会社、大阪大学と共同で、産業のコメとも言えるシリコンにおける、従来の物性理解を超越する新奇なスピン物性の発見に成功しました。
现在のシリコンベースのトランジスタは微细化の限界や膨大な発热?廃热による技术的限界に直面しつつあるため、これらの限界を突破するために电子の有するスピン机能を新たな情报担体とした研究が极めて盛んになっています。スピンは磁性の起源であるためにスピン情报担体を操作しスピンを用いた演算を実现するためには一般に外部磁场が必要ですが素子构造が大掛かりになるという问题があります。一方近年、スピン轨道相互作用という物质中の相対性理论効果を活用して、人工的に磁场を物质中に创発させることが可能となっており、この効果を用いたコンパクトな情报素子の创出が期待されています。シリコンでもこのような机能が発现できることが待望されてきましたが、シリコンは本质的にこのスピン轨道相互作用が小さいためにこの机能発现は不可能だ、というのが従来の理解でした。
今回、本研究グループは巧妙かつ人工的にこの厂翱滨をシリコンに発现させ、外部磁场を全く用いずにシリコン中の流れるスピンを操作することに成功しました。この成功により、情报素子の产业応用上最适な材料であるシリコンを用いてスピン演算をよりコンパクトな素子で実现できる道程を开拓することができました。
本研究成果は、2021年6月4日に、国際学術誌「Nature Materials」のオンライン版に掲载されました。

【顿翱滨】
Soobeom Lee, Hayato Koike, Minori Goto, Shinji Miwa, Yoshishige Suzuki, Naoto Yamashita, Ryo Ohshima, Ei Shigematsu, Yuichiro Ando, Masashi Shiraishi (2021). Synthetic Rashba spin–orbit system using a silicon metal-oxide semiconductor. Nature Materials, 20(9), 1228–1232.
に掲载されました。