生物多様性の保全上重要な地域の法面緑化には、これまで使われてきた外来植物に代わって在来植物の利用が推奨されています。しかし、日本では、緑化に使用する在来种の产地に関する规制がないため、市贩の緑化用种子の99%近くが中国を中心とした海外から输入されています。
下野嘉子 農学研究科准教授、我妻総 同修士課程学生、今西純一 大阪府立大学教授、陶山佳久 東北大学教授、松尾歩 同助教らの研究グループは、緑化によく用いられる在来種ヨモギについて、日本各地の自生地や緑化地で採取した個体と、2種類の中国産緑化種子(中国原産の輸入種子と、日本原産種子を中国で栽培した逆輸入種子)から育成した個体について、遺伝的および形態的変異を評価しました。
自生地から採取した个体は、东日本と西日本间で遗伝的に分化していた一方で、緑化地には、西日本地域であっても东日本个体と类似した个体が多いことがわかりました。逆输入种子は东日本个体と近縁であったことから、东日本由来の緑化种子が日本全国の法面緑化に使用されていることが示唆されました。中国原产の个体は、日本の自生个体とは遗伝的にも形态的にも分化しており、海外からの输入种子の緑化への使用は慎重に検讨する必要があります。
本研究成果は、2021年10月29日に、国際学術誌「Restoration Ecology」のオンライン版に掲載されました。

【顿翱滨】
Satoshi Wagatsuma, Junichi Imanishi, Yoshihisa Suyama, Ayumi Matsuo, Mitsuhiko P. Sato, Chika Mitsuyuki, Yoshihiro Tsunamoto, Tohru Tominaga, Yoshiko Shimono (2022). Revegetation in Japan overlooks geographical genetic structure of native Artemisia indica var. maximowiczii populations. Restoration Ecology, 30(7):e13567.