※ 図を一部修正しました(2022年3月4日)
私たちの周りには、冬に叶を落とす木(落叶树)と落とさない木(常緑树)がいます。両者は全く违う生き方ですが、どうして同じ环境に共に生きられるのでしょうか。
小野田雄介 農学研究科准教授、葉雲翰 同修士課程学生、北山兼弘 同教授のグループは、同所的に自生している落葉樹と常緑樹の葉における炭素の収支バランスを詳細に研究しました。常緑樹は冬の凍結に備えて、頑丈な葉を作るために、落葉樹よりも約2倍の炭素を必要とします。一方で、その投資は長期間の光合成によって補われ、炭素の費用対効果は、落葉樹でも常緑樹でも同程度でした。冬を避けるか耐えるかが、落葉樹と常緑樹の違いですが、炭素の収支バランスは同程度で、それがゆえに共存できるようです。
温暖化に伴い、落叶树が多い地域に、常緑树が近年増えてきました。冬の寒さの缓和により、常緑树は叶を顽丈にする必要性が减り(コスト軽减)、また光合成ができる期间が伸びるため、大きなプラスになります。植物の叶の费用対効果を明らかにすることにより、温暖化に伴う种の分布変化の理解や予测にも繋がります。
本研究成果(未校閲の受理原稿)は、2022年2月8日に、国際学術誌「New Phytologist」にオンライン掲載されました。最終校閲版は2月28日にオンライン掲載される予定です。

近縁な种にも落叶タイプと常緑タイプの両方が存在します。たとえば、サクラ属と言えば、落叶树という印象があるかもしれませんが、常緑树もいます。落叶树は秋に红叶しますが、常緑树は青々したままです。(京都市吉田山にて。撮影:小野田雄介)
【顿翱滨】
Yunhan Ye, Kanehiro Kitayama, Yusuke Onoda (2022). A cost-benefit analysis of leaf carbon economy with consideration of seasonal changes in leaf traits for sympatric deciduous and evergreen congeners — implications for their coexistence. New Phytologist, 234(3), 1047-1058.