昆虫ゲノム编集のあたらしい形―成虫注射で「难敌」撃破―

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 大門高明 農学研究科教授、白井雄 同博士課程学生は、Xavier Belles 進化生物学研究所(Institut de Biologia Evoltiva)教授(スペイン)、Maria-Dolors Piulachs 同グループ長との共同研究で、従来の方法を大幅に簡略化させ、かつ、適用範囲を拡大させた、新規の昆虫ゲノム編集法を確立しました。

 近年のゲノム编集ツールの开発によって、昆虫においてもゲノム编集が可能となりました。しかし、これまでの方法では受精直后の卵(初期胚)にゲノム编集ツール(颁搁滨厂笔搁/颁补蝉9など)を注射する必要があり、そのために高価な実験机材や特别な実験技术の习得が必要でした。さらに、昆虫には卵への注射が原理上不可能な种や、技术上非常に困难な种が数多く存在しています。従来法にはこれらの问题点があり、それが多种多様な昆虫で自在にゲノム编集を行いたい研究者を悩ませてきました。

 今回、研究グループは、新しいゲノム编集法の开発に取り组み、极めて简便な昆虫ゲノム编集法(顿滨笔础-颁搁滨厂笔搁法)を开発しました。顿滨笔础-颁搁滨厂笔搁法は、卵ではなく成虫に注射することによって従来法の问题点を解决することができます。研究グループは、この方法によるゲノム编集効率が従来法に匹敌するほど高いこと、さらに、この方法を用いることで、従来法では事実上不可能であった「难敌」であるゴキブリにおいても高効率なゲノム编集が可能であることを明らかにしました。

 顿滨笔础-颁搁滨厂笔搁法は极めてシンプルです。注射は成虫に行えばよいため、高価な机材や技术的なトレーニングの必要がほとんどありません。注射するゲノム编集ツールは一般的な市贩品をそのまま使えばよいため、特别な準备も必要ありません。世界のほとんどの研究室で简単に実行可能であること、原理上、100万种を超える昆虫种のほとんどに适用可能であることから、この方法は、昆虫科学の発展を基础?応用の両面から强力に牵引していくものと期待されます。

 本研究成果は、2022年5月16日に、科学雑誌「Cell Reports Methods」にオンライン掲載されました。

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顿滨笔础-颁搁滨厂笔搁のイメージ図。メス亲(上)に颁搁滨厂笔搁/颁补蝉9を注射することで、ゲノム编集された子(右下の白眼个体)を得ることができる。
研究者情报
研究者名
大門 高明
书誌情报

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【书誌情报】
Yu Shirai, Maria-Dolors Piulachs, Xavier Belles, Takaaki Daimon (2022). DIPA-CRISPR is a simple and accessible method for insect gene editing. Cell Reports Methods, 2(5):100215.

メディア掲载情报

朝日新聞(5月17日 25面)、京都新聞(5月17日 24面)、毎日新聞(5月17日 24面)、読売新聞(5月17日 31面)および日本経済新聞(5月25日 42面)に掲載されました。