ゲノム解析から急性赤白血病の変异プロファイルと治疗标的を解明―特定の遗伝子変异群の组み合わせと、特徴となる遗伝子の増幅が键―

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 小川誠司 医学研究科教授、竹田淳恵 同研究員らは124例の急性赤白血病(AEL)に対し次世代シーケンサーを用いた包括的なゲノム解析を行い、変異プロファイルからAELは4つのサブグループに分類されることを明らかにしました。そのなかで予後不良のTP53変異群ではJAK2、EPOR、ERG、ETS2を含むDNA増幅が他急性骨髄性白血病(AML)と比較しAELで高頻度に認めました。他のサブグループでもAELに特徴的な変異を認め、単独の変異ではなく特定の変異の組み合わせがAELを特徴づけると考えました。

 さらに闯础碍2、贰笔翱搁の顿狈础増幅は発现上昇に寄与し共に闯础碍-厂罢础罢シグナリング経路に関与することから治疗标的になりうると考え、罢笔53変异と闯础碍2、贰笔翱搁増幅をもつ検体を用いて患者由来のマウスモデルを作成し、闯础碍阻害薬(ルキソリチニブ)により肿疡细胞の増殖が抑制され、生存を延长されることを明らかにしました。
以上より本研究は础贰尝の変异プロファイルと表现形の関连を明らかにするものであり、また、治疗のさらなる最适化に资するものであると考えます。

 本研究成果は、2022年7月15日に、国際学術誌「Blood Cancer Discovery」にオンライン掲載されました。

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本研究の概要図

研究者のコメント

「急性骨髄性白血病と一言にいっても组织学的にも様々で予后も均一ではありません。今回の研究で急性赤白血病がどのような遗伝子异常を获得して発症するかが判明するとともにその中でも予后が极めて不良な一群が存在し、それに対し治疗标的を见つけマウスモデルでその治疗标的の阻害薬が奏効することが明らかとなりました。今回の研究を手掛かりとしてこの难治の疾患の分子メカニズムのさらなる解明やより最适な治疗法を模索していきたいと考えています。私たちの研究が急性骨髄性白血病を含む造血器肿疡のさらなる理解や治疗に贡献し皆様のお役に立てたらと考えています。」(小川诚司、竹田淳恵)

研究者情报
研究者名
小川 誠司
书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

【书誌情报】
June Takeda, Kenichi Yoshida, Masahiro M. Nakagawa, Yasuhito Nannya, Akinori Yoda, Ryunosuke Saiki, Yotaro Ochi, Lanying Zhao, Rurika Okuda, Xingxing Qi, Takuto Mori, Ayana Kon, Kenichi Chiba, Hiroko Tanaka, Yuichi Shiraishi, Ming-Chung Kuo, Cassandra M. Kerr, Yasunobu Nagata, Daisuke Morishita, Nobuhiro Hiramoto, Akira Hangaishi, Hideyuki Nakazawa, Ken Ishiyama, Satoru Miyano, Shigeru Chiba, Yasushi Miyazaki, Toshiyuki Kitano, Kensuke Usuki, Nobuo Sezaki, Hisashi Tsurumi, Shuichi Miyawaki, Jaroslaw P. Maciejewski, Takayuki Ishikawa, Kazuma Ohyashiki, Arnold Ganser, Michael Heuser, Felicitas Thol, Lee-Yung Shih, Akifumi Takaori-Kondo, Hideki Makishima, Seishi Ogawa (2022). Amplified EPOR/JAK2 Genes Define a Unique Subtype of Acute Erythroid Leukemia. Blood Cancer Discovery, 3(5), 410-427.

メディア掲载情报

日刊工業新聞(8月19日 21面)に掲載されました。