澤村正典 医学部附属病院特定病院助教、尾上浩隆 同特定教授、山門穂高 医学研究科特定准教授、上村紀仁 同特定助教、伊佐正 同教授、高橋良輔 同教授らの研究グループは、αシヌクレインの凝集体(フィブリル)を霊長類の一種であるマーモセットの嗅球へ投与した実験により、パーキンソン病などを含むレヴィ小体病における嗅覚系伝播経路と認知機能障害の関連性について明らかにしました。
パーキンソン病はドパミン神経が进行性の変性を起こす难病で、进行期になると多くの患者さんで认知症を合併します。パーキンソン病の类縁疾患としてレヴィ小体型认知症という认知症も知られており、これらはまとめてレヴィ小体病と呼ばれます。认知症の患者さんは急速に増加しており、介护者の负担に加え、社会的?経済的にも大きな问题となっています。最近、レヴィ小体病の病态として、αシヌクレインという蛋白质が脳内に异常に凝集し、神経细胞同士の间を伝播することで、脳に広く病変を形成し、病状を进行させるという仮説が注目されています。私たちはマーモセットを用いたレヴィ小体病モデルの作製に成功し、嗅球からの伝播が认知机能障害と関连している可能性を示しました。レヴィ小体病の霊长类モデルはパーキンソン病やレヴィ小体型认知症の病态解明や治疗薬の开発に有用であると考えられます。
本研究成果は、2022年8月22日に、国際学術誌「Movement Disorders」のオンライン版に掲載されました。

研究者のコメント
「私は脳神経内科医师として多くのパーキンソン病の患者さんを诊察してきました。パーキンソン病の进行期では、认知机能障害が治疗の妨げになることが多く、非常に大きな问题だといつも感じております。私たちの作製したモデル动物を用いた研究により、一人でも多くの患者さんやご家族の苦しみを取れればと望んでいます。また、これまでマーモセットを用いた研究は行ったことがなく色々と苦労もありましたが、多くの方に支えていただき最终的に新しいモデル动物を作製することができたことに感谢いたします。」(泽村正典)
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【书誌情报】
Masanori Sawamura, Hirotaka Onoe, Hideo Tsukada, Kaoru Isa, Hodaka Yamakado, Shinya Okuda, Masashi Ikuno, Yusuke Hatanaka, Shigeo Murayama , Norihito Uemura, Tadashi Isa, Ryosuke Takahashi (2022). Lewy Body Disease Primate Model with α-Synuclein Propagation from the Olfactory Bulb. Movement Disorders, 37(10), 2033-2044.
読売新聞(8月25日夕刊 10面)に掲載されました。