がんの亲玉「がん干细胞」を选択的に死灭させる中分子化合物を発见―がん干细胞を标的とする新规抗がん剤シーズ开発に期待―

ターゲット
公开日

 掛谷秀昭 薬学研究科教授、池田拓慧 同特定研究員、井本正哉 順天堂大学教授らの共同研究グループは、大腸がん幹細胞に対する治療薬探索系を独自に構築し、微生物由来中分子化合物レノレマイシンががん幹細胞選択的に殺細胞効果を示すことを発見しました。

 「がん干细胞」は肿疡中に存在する悪性度の高い画分として知られています。既存の抗がん剤に対して耐性を示すことから、残存したがん干细胞はがん再発の一因となっており、がん干细胞に対する治疗戦略の确立が急务とされています。本研究では、がん干细胞を标的とした治疗薬候补を取得するため、従来とは异なる独自の化合物スクリーニング系を构筑しました。すなわち同一がん细胞株を异なる培地で叁次元培养することでがん干细胞の取得を试みたところ、特徴的なマーカーおよび薬剤耐性を获得したがん干细胞を培养することに成功しました。

 本手法で培养されたがん干细胞と通常のがん细胞を用いて、微生物代谢产物ライブラリーからがん干细胞选択的に杀细胞効果を示す化合物を探索した结果、イオノフォアとして知られる3つの中分子化合物を同定しました。取得した3化合物のうちレノレマイシンは、従来発见されていたサリノマイシンと比较しても非常に高い选択性と有効性を示しました。また、レノレマイシンが活性酸素种を発生させることでがん干细胞を选択的に死灭させていることを明らかにしました。本研究で构筑された化合物探索系を用いることで、がん干细胞を标的とする新たな抗がん剤シーズの取得が期待されます。

 本研究成果は、2022年10月8日に、国際学術誌「The Journal of Antibiotics」のオンライン版に掲載されました。

文章を入れてください
図:レノレマイシンはがん干细胞选択的に杀细胞効果を示す

研究者のコメント

「今回、がん干细胞を强力に死灭させる抗がん剤シーズとしてイオノフォアに分类される微生物由来中分子化合物レノレマイシンを再発见しました。微生物抽出液ライブラリーや合成化合物ライブラリーを用いたスクリーニング研究を継続することで、がん干细胞を标的とした新しい抗がん剤シーズの开発や分子标的の同定を行いたいと考えています。」(池田拓慧、掛谷秀昭)

研究者情报
研究者名
掛谷 秀昭
书誌情报

【顿翱滨】

【书誌情报】
Hiroaki Ikeda, Misato Kawami, Masaya Imoto, Hideaki Kakeya (2022). Identification of the polyether ionophore lenoremycin through a new screening strategy for targeting cancer stem cells. The Journal of Antibiotics.