世界中の温帯海域に生息するマイワシの个体数は、环境変动に応答して激しく増减することが知られています。その中で、日本近海のように各大洋の西侧に生息するマイワシ个体群は比较的寒冷な年代に増加するのに対し、东侧に生息する个体群は温暖な年代に増加することは大きな谜となっていました。
石村豊穂 人间?环境学研究科准教授(研究当時:茨城工業高等専門学校准教授)と、水産研究?教育機構、東大大気海洋研究所、国立台湾大学、アメリカ海洋大気庁らからなる共同研究チームは、日本近海と北米西岸で収集されたマイワシの耳石について、日単位での成長解析に加えて、非常に細かい解像度での安定同位体分析を行いました。その結果、北太平洋の東西の集団間では、初期成長速度、エネルギー消費量、分布水温が大きく異なることが見出されました。このような東西の対称的な違いは、遠く離れた南アフリカの西岸(大西洋の東側)と南?東岸(インド洋の西側)にいるマイワシ集団の間でも、共通して観察されました。さらに、日本近海のマイワシは稚魚期の終わりまでの成長速度が低水温下で高くなるのに対し、北米西岸のマイワシでは高水温下で高くなることが示されました。成長が速い仔稚魚は生残率が高くなるため、このように成長速度の水温応答が逆転していることが、世界の大洋の西側と東側のマイワシ個体数の環境応答の違いを生んでいるのではないかと考えられました。こうして多様な環境に適応して生き様を変え、海域により異なる環境応答を示すことが、マイワシの気候変動に対するリスクヘッジになっている可能性があります。従来観測が困難だった海中の仔稚魚の生態を理解することで、様々な水産資源の変動要因が解明されることが期待されます。
本研究成果は、2022年10月16日に、国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

耳石は1日1本輪紋を刻みながら成長する(中央)。耳石をマイクロドリルで削り(右)、得られる微量の粉末の安定同位体比を分析した。石村准教授が開発した超微量分析システム(MICAL 3c)は、世界で最も少ない量で高精度の分析ができる。
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【书誌情报】
Tatsuya Sakamoto, Motomitsu Takahashi, Ming-Tsung Chung, Ryan R. Rykaczewski, Kosei Komatsu, Kotaro Shirai, Toyoho Ishimura, Tomihiko Higuchi (2022). Contrasting life-history responses to climate variability in eastern and western North Pacific sardine populations. Nature Communications, 13:5298.