肥満は痩せても记忆されている―一度太ると神経炎症増悪のリスクは継続―

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 加齢黄斑変性(础惭顿)は、最も频度の高い神経炎症性疾患の一つであり、世界の失明原因の上位を占めています。その発症メカニズムは未だ不明な点が多いのですが、自然免疫を中心とした慢性炎症の関与が重要であることが分かっており、免疫関连遗伝子の変异による要因に加えて、喫烟や肥満などの炎症を惹起するような环境的要因の蓄积によって引き起こされると考えられています。中でも、肥満は喫烟に次ぐ重要な环境因子であり、肥満が引き起こす慢性的な全身性炎症が础惭顿発症に関与していると考えられています。

 畑匡侑 医学部附属病院特定講師(研究当時:モントリオール大学ポスドク)、Przemyslaw Sapieha モントリオール大学教授らの研究グループは、肥満を改善させることでAMD発症が抑えられるかを検討したところ、予想に反して、過去の肥満が自然免疫系に長期間記憶されており、晩年の神経炎症やAMDに悪影響を与えることを発見し、そのメカニズムを突き止めました。

 本研究は、网膜疾患や神経炎症性疾患における免疫记忆の役割という新たなリンクを明らかにするとともに、免疫记忆への介入が新たな治疗戦略となりうる、ということを示唆しています。

 本研究成果は、2023年1月6日に、国际学术誌「厂肠颈别苍肠别」に掲载されました。

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蔼平田明子/畑匡侑

研究者のコメント

「当初の仮説とは异なる结果が得られたところから本プロジェクトは始まり、新たな知见を得るにいたりました。本研究はマウスを使った実験结果ですが、実际の患者さんでも同様のことがおこっているかを検証しているところです。今后も、难治性疾患の様々な病态について、动物実験に加え患者さんデータを用いて検証を重ね、疾患をより深く理解し治疗応用へとつなげることを目指しています。」(畑匡侑)

研究者情报
研究者名
畑 匡侑
书誌情报

【顿翱滨】


【书誌情报】
Masayuki Hata, Elisabeth M. M. A. Andriessen, Maki Hata, Roberto Diaz-Marin, Frédérik Fournier, Sergio Crespo-Garcia, Guillaume Blot, Rachel Juneau, Frédérique Pilon, Agnieszka Dejda, Vera Guber, Emilie Heckel, Caroline Daneault, Virginie Calderon, Christine Des Rosiers, Heather J. Melichar, Thomas Langmann, Jean-Sebastien Joyal, Ariel M. Wilson, Przemyslaw Sapieha (2023). Past history of obesity triggers persistent epigenetic changes in innate immunity and exacerbates neuroinflammation. Science, 379(6627), 45-62.

メディア掲载情报

読売新聞(1月6日 27面)に掲載されました。

関连部局