アオコ感染性広域?狭域宿主ウイルスの动态―アオコとウイルスはいかに共存するか―

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 ミクロキスティスは光合成を行う细菌、シアノバクテリア(ラン藻とも呼ばれている)の一种です。肝臓毒生产能を有し、世界中の湖沼で异常増殖してアオコを形成するため、极めて重要な生物种と见なされています。シアノバクテリアも日々ウイルスの感染を受けています。とりわけ本种はゲノム上に多様なウイルス耐性遗伝子を有し、环境中で多种多様なウイルスと相互作用すると考えられてきました。
 森本大地 農学研究科博士課程学生(現:日本学術振興会特別研究員PD)と吉田天士 同教授らは、先行研究で環境から抽出したDNAを解読する技術(メタゲノム解析)を用いて、様々なミクロキスティスに感染する広域宿主ウイルスと特定の細胞だけに感染する狭域宿主ウイルスを世界に先駆けて見出しました。本研究では、これら異なる宿主域を持ったウイルスを個別に定量する手法を確立し、環境でウイルスとミクロキスティスを調査しました。その結果、狭域宿主ウイルスは調査期間中に存在量が変化しないのに対し、広域宿主ウイルスは本種全体の生物量増加に伴い存在量が増加しました。また、ミクロキスティス種内で同一の遺伝的性質を持った集団(個体群)の組成は大きく変動していました。広域宿主ウイルスの感染が蔓延するにも関わらず、ミクロキスティスがアオコの状態まで生物量を拡大?維持可能なのは、その卓越したウイルス耐性機構に依ることが強く示唆されました。

 本研究成果は、2023年1月23日に、国際学術誌「Applied and Environmental Microbiology」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
(础)京都市広沢池で発生したミクロキスティスのアオコ
(叠)サンプリング期间を通じて狭域宿主ウイルス(緑线)はほとんど存在量が変化せず、広域宿主ウイルス(赤线)は全体の生物量増加に伴って存在量が増加した。また、アオコは一様な集団に见えるが、遗伝子配列の违いで”见る”と、个体群の组成が大きく変动していた。
研究者のコメント

「环境中での细胞密度が高くなると、高频度にウイルス感染を受けますが、ミクロキスティスはそれを乗り越えアオコを形成します。本种はゲノム上にウイルス感染履歴を遗すため、直接ウイルスとの相互作用を「见る」ことができます。この特徴から、本种は细菌とウイルスがなぜ高频度接触下で共存できるのかを解明する上で大きな键となる生物だと考えています。両者の関係性をより深く探っていきたいと思います。」(森本大地)

研究者情报
研究者名
吉田 天士
书誌情报

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【书誌情报】
Daichi Morimoto, Naohiro Yoshida, Aya Sasaki, Satoshi Nakagawa, Yoshihiko Sako, Takashi Yoshida (2023). Ecological Dynamics of Broad- and Narrow-Host-Range Viruses Infecting the Bloom-Forming Toxic Cyanobacterium Microcystis aeruginosa. Applied and Environmental Microbiology, 89(2):e02111-22.