ヨーロッパに分布するエボラウイルス近縁ウイルスの増殖机构を解明―広范囲の抗フィロウイルス疗法の开発に期待―

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 野田岳志 医生物学研究所教授、杉田征彦 同准教授、胡上帆 同博士課程学生、Thomas Hoenen フリードリヒ?レフラー研究所(ドイツ)博士らの国際共同研究グループは、ヨーロッパに広く分布し、エボラウイルスの近縁にあたるリョビュウイルスのウイルス核タンパク質(NP)–RNA複合体の立体構造をクライオ電子顕微鏡解析により明らかにしました。本研究成果から、ヒトに致死的な出血熱を引き起こすフィロウイルスの増殖機構の一端が明らかになりました。

 リョビュウイルスは、ヒトに致死的な出血热を引き起こすエボラウイルスやマールブルクウイルスとともに、フィロウイルス科に分类されます。本ウイルスは、2002年にスペインに生息するコウモリから初めて発见され、2016年にはハンガリーに生息するコウモリでもその存在が确认された、新しいフィロウイルスです。リョビュウイルスがヒトに対して病原性を示すかどうかは未だ不明ですが、エボラウイルスと遗伝的に近いことから、医学?公众卫生学的に悬念すべきウイルスとして注视されています。

 リョビュウイルスのヌクレオカプシドは、ウイルスゲノム搁狈础の転写?复製を担い、ウイルス増殖の中心的な役割を担います。ヌクレオカプシドは、ゲノム搁狈础とウイルス核タンパク质(狈笔)から构成されるコア构造に様々なウイルスタンパク质が结合することで形成されますが、その形成机构の分子构造基盘は不明でした。

 本研究グループは、リョビュウイルスのヌクレオカプシドのコア构造である狈笔–搁狈础复合体の立体构造をクライオ电子顕微镜解析により原子レベルで决定し、その形成に重要な相互作用を同定しました。さらに、エボラウイルスやマールブルクウイルスとの比较解析により、フィロウイルスのヌクレオカプシドのコア构造を形成するメカニズムが、フィロウイルスですべて同じであることを见出しました。本研究成果は、フィロウイルスの増殖机构の解明と、すべてのフィロウイルスに有効な创薬开発に大きく贡献することが期待されます。

 本研究成果は、2023年4月6日に、国際学術誌「PNAS Nexus」に掲載されました。

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本研究のイメージ図
研究者のコメント

「フィロウイルスのアウトブレイクは中央アフリカや西アフリカで频繁に発生し、これまでに何万人もの死者を出しています。私たちの研究がフィロウイルス感染症の制御につながる薬剤の开発に役立つことを望んでいます。」(胡上帆)

研究者情报
研究者名
野田 岳志
研究者名
杉田 征彦
书誌情报

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【书誌情报】
Shangfan Hu, Yoko Fujita-Fujiharu, Yukihiko Sugita, Lisa Wendt, Yukiko Muramoto, Masahiro Nakano, Thomas Hoenen, Takeshi Noda (2023). Cryo-electron microscopic structure of the nucleoprotein-RNA complex of the European filovirus, Lloviu virus. PNAS Nexus, 2(4):pgad120.

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