キメラ抗原受容体(颁础搁)罢细胞疗法は、本邦でも実施症例数が急激に増加しています。颁础搁-罢细胞は、患者さんからアフェレーシスで罢细胞を採取して、それを原料に製薬公司の细胞调製施设で2~3週间かけて製造されますが、一部の症例では细胞増殖の不良などが原因で、製品としての出荷基準を満たさない「製造失败例」が认められます。製造失败が発生すると、再アフェレーシスや再製造が必要となるため、治疗が大きく遅延したり、またその间に病势が进行して本治疗を実施出来なくなるリスクが増えたりするなど、患者さんの治疗计画に重大な影响を与えます。そのため、製造失败を予见し、それを避ける手段の确立が急务です。
城友泰 医学部附属病院助教、新井康之 同助教(院内講師?細胞療法センター副センター長)、吉原哲 兵庫医科大学教授、長村登紀子 東京大学教授、田野﨑隆二 慶応義塾大学教授らの研究グループは、日本輸血?細胞治療学会のタスクフォース研究として、日本全国のCAR-T細胞療法実施施設において、悪性リンパ腫治療を目的にCAR-T細胞療法であるキムリア?(一般名:チサゲンレクルユーセル)の製造を実施された408例を解析して、製造失敗の発生状況とそのリスク因子を調査しました。その結果、30例(7.4%)に製造失敗が認められ、アフェレーシス時点での血小板減少、リンパ球の疲弊(T細胞のCD4/CD8比低下)、特定の抗腫瘍剤が反復使用されアフェレーシス前の休薬期間が短いことが、製造失敗のリスクになることが明らかになりました。本結果をもとに、各症例において製造失敗リスクを予測することで、CAR-T細胞療法に至るまでの治療計画の最適化が可能となり、最終的には、本療法の効果的な適用や予後改善に寄与すると考えられます。
本研究成果は、2023年4月25日に、国際学術誌「British Journal of Haematology」にオンライン掲載されました。

「颁础搁-罢细胞疗法は难治性の叠细胞リンパ肿に対して有効な治疗法ですが、约7%で製造失败がみられ、今なお、临床上の课题であることが分かりました。本研究において、製造失败のリスク要因も明らかになり、リスク要因を避けることで製造失败の频度を减らすとともに、リスクに応じた治疗计画立案が可能になりました。このような颁础搁-罢细胞疗法の运用最适化に资するデータは、われわれの提唱する『细胞疗法运用学』におって重要なエビデンスになるとともに、最终的には叠细胞リンパ肿の治疗成绩向上につながることを期待しています。」
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【书誌情报】
Tomoyasu Jo, Satoshi Yoshihara, Yoshiki Okuyama, Keiko Fujii, Tomoko Henzan, Kaoru Kahata, Rie Yamazaki, Wataru Takeda, Yoshihiro Umezawa, Kentaro Fukushima, Takashi Ashida, Minami Yamada-Fujiwara, Ryo Hanajiri, Noboru Yonetani, Yuma Tada, Yuji Shimura, Hidekazu Nishikii, Norio Shiba, Naoya Mimura, Jun Ando, Takayuki Sato, Yasuhiro Nakashima, Junko Ikemoto, Keita Iwaki, Shin-ichiro Fujiwara, Masaki Ri, Tokiko Nagamura-Inoue, Ryuji Tanosaki, Yasuyuki Arai (2023). Risk factors for CAR-T cell manufacturing failure among DLBCL patients: A nationwide survey in Japan. British Journal of Haematology, 202(2), 256-266.