鈴木紗也華 生态学研究センター博士課程学生(研究当時)と東樹宏和 同准教授および馬場友希 農業?食品産業技術総合研究機構上級研究員らの研究グループは、生物多様性を網羅的に解明する「DNAメタバーコーディング」技術を応用し、50種のクモと約1,000種の餌生物が織りなす食物網の構造とその動態を解明しました。
他の生物を捕食する生物の体内には、饵种の顿狈础が含まれています。本プロジェクトでは、早春から晩秋の草原生态系を対象とした野外调査で2,000个体以上のクモを採集するとともに、その全个体について饵种顿狈础をターゲットにした分析を実施しました。その上で、食物网の构造をネットワーク科学の観点から解析しました。
その结果、食物网の构造が季节の移り変わりとともに剧的に変化している様子を捉えることに成功しました。検出された约1,000种の饵种の中には、植物の叶を食べる昆虫や地下の有机物を食べるトビムシ类、他の节足动物を饵とする捕食者や寄生者が含まれていました。こうした多様な饵を捕食し、地上と地下の生态系间をつなぐ役割を果たしているクモを探索したところ、季节の変化とともに食う-食われる関係のネットワーク内で中核に位置する种(「コア生物种」)が入れ替わっていることが明らかになりました。
肉眼観察だけでは捉えきれない生物种间の関係性を一挙に解明する本研究のアプローチを今后拡大することで、生态系内でどのように物质が循环しているのか、生态系の机能と安定性に「コア生物种」がどのように寄与するのか、といった核心的な问いに答える基础が构筑されると期待されます。
本研究成果は、2023年7月17日に、国際学術誌「Nature Ecology and Evolution」に掲載されました。

「饵生物への选り好みがないと言われてきたクモでも、种や季节によってその振る舞いが违うことを、长期的なサンプリングにより明らかにすることができました。今后は食物网の季节动态がより注目されていくことを期待しています。」
【顿翱滨】
【书誌情报】
Sayaka S. Suzuki, Yuki G. Baba, Hirokazu Toju (2023). Dynamics of species-rich predator–prey networks and seasonal alternations of core species. Nature Ecology & Evolution ,7(9), 1432-1443.