ポドサイトにおけるGC-Aとp38 MAPKの欠損はアルドステロンによる腎障害を増悪させる-ポドサイト-内皮連関におけるPAI-1の関与-

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 慢性肾不全患者は全世界で増加倾向を示しています。我が国でも慢性肾不全の患者は増え続け、慢性肾不全となるリスクが高い慢性肾臓病(颁碍顿)患者は1,330万人とされています。肾臓には血液をろ过する糸球体という毛细血管による网目状构造物があります。またポドサイトとは糸球体毛细血管を覆うように存在し、蛋白尿に対するバリアー机能を果たす细胞で、毛细血管の内皮细胞と协调して恒常性を维持しています。

 横井秀基 医学研究科講師、柳田素子 同教授、杉岡清香 同助教らは、ナトリウム利尿ペプチドANPとBNPの受容体であるGC-A(グアニル酸シクラーゼA)及びその下流にあるp38 MAPK(p38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)の両者をポドサイトで欠失させることにより、アルドステロンと高塩負荷によるポドサイト障害が増悪することを見出しました。p38 MAPKはサイトカインやショックなどのストレス刺激に応答するMAPKであり、細胞の分化やアポトーシス(プログラム化した細胞死)に関与しています。またGC-Aとp38 MAPK欠損による著明なポドサイト障害は、糸球体毛細血管内に血栓を伴う内皮細胞障害も引き起こし、その腎障害がPAI-1阻害により改善することを明らかにしました。

 本研究成果は、2023年6月23日に、国際学術誌「Kidney International」にオンライン掲載されました。

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ポドサイト特異的GC-Aおよびp38 MAPKのダブルノックアウトマウスはアルドステロン、高塩負荷により多量の蛋白尿を伴うポドサイト障害と糸球体毛細血管内血栓を伴う内皮障害を発症し、中和抗体によるPAI-1阻害で改善が認められ、新規治療候補となり得る。
研究者のコメント

「慢性肾臓病は画期的な治疗薬に乏しく加齢とともに进行性であるため、新规治疗方法の确立が重要です。蛋白尿を伴う肾障害の场合は、ポドサイトを保护することが肾保护につながると考えられるため、ポドサイト研究をさらに进めたいと考えています。」

研究者情报
研究者名
横井 秀基
研究者名
柳田 素子
书誌情报

【顿翱滨】

【书誌情报】

Sayaka Sugioka, Hiroyuki Yamada, Akira Ishii, Yukiko Kato, Ryo Yamada, Keita P. Mori, Shoko Ohno, Takaya Handa, Akie Ikushima, Takuya Ishimura, Keisuke Osaki, Takeshi Tokudome, Taiji Matsusaka, Angel R. Nebreda, Motoko Yanagita, Hideki Yokoi (2023). Dual deletion of guanylyl cyclase-A and p38 mitogen-activated protein kinase in podocytes with aldosterone administration causes glomerular intra-capillary thrombi. Kidney International, 104(3), 508-525.