私たちの身の回りには、朝颜の蔓や、ガーデニングの水撒き用のホース、糸やロープ、スパゲッティなど、ひも状の物体が多くあります。これらのひもは、别の物体の周りに巻き付いていることも多くあります。しかし、自重で垂れ下がったひもを别の物体の周りに巻き取るという现象において、巻き付いたひもの形态やその形成メカニズムは、これまでわかっていませんでした。
谷茉莉 理学研究科助教(研究当時:東京都立大学助教)、和田浩史 立命館大学教授らの研究グループは、この問題に対して、弾性体のひもを用いたモデル実験と数値シミュレーション、弾性理論を組み合わせて研究を行い、ひもが棒に巻きつく際の巻き付き形状と間隔が、ひもの硬さ?太さ?長さと、巻き付かれる棒の太さに依存することを明らかにしました。得られた結果は、幾何形状の変化を伴う弾性体の基本的な問題の理解を促進するのみならず、材料力学や、ロボットのソフトアームの開発などの応用にも繋がることが期待されます。
本研究成果は、2024年2月2日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。さらに本論文は、同誌の「Editors' Suggestion」(注目論文)に選定されました。また、アメリカ物理学会のPhysics Focusにも取り上げられました。

「『ひもは他の物体にどのように巻き付くのか』という一见简単そうな问いですが、きちんと理解しようと思うと、弾性、几何、重力、摩擦が関係した复雑な问题でした。一方で、最终的に得られた结果はシンプルであるため、基础的?応用的な研究発展、产业への波及が期待できます。また、自身の手元でひもを弄って试すことが可能なので、色々な方々にこのような问题を身近に感じていただけるきっかけとなれば嬉しいです。」(谷茉莉)
【顿翱滨】
【书誌情报】
Marie Tani, Hirofumi Wada (2024). How a Soft Rod Wraps around a Rotating Cylinder. Physical Review Letters, 132(5):058204.
日刊工業新聞(2月14日 25面)に掲載されました。