東樹宏和 生命科学研究科教授、鈴木紗也華 生态学研究センター博士課程学生(研究当時)および馬場友希 農業?食品産業技術総合研究機構上級研究員らの研究グループは、多様な生物種が織りなす相互作用ネットワークに着目し、生態系全体の「柔軟性」を高める役割を果たす種を探索する手法を開発しました。
社会の中において人と人が网の目のように构筑されているように、生态系の中における生物种间の関係性も复雑なネットワークを形成しています。こうした相互作用で构筑されるシステムが、环境の変化に対して脆弱なのか、顽健なのか、という问いは、基础科学の面でも、応用科学の面でも、重要な意味を持っています。
本研究では、生物种间ネットワークの构造が、时间の移り変わりとともに変化していく程度を定量化するとともに、ネットワーク全体の柔软性を高める働きをする生物种を探索する指标を开発しました。「顿狈础メタバーコーディング」と呼ばれる技术を用いた先行研究で明らかになった草原生态系内における「食うー食われる」関係のネットワークにこの手法を适用したところ、数种类の捕食者と被食者が生物群集全体の柔软性に寄与していることが推测されました。
生物多様性が世界中で减少する中、生物群集全体の柔软性を高める种を见出すことで、顽健な生态系を効率的に再生していく道が见えてくると期待されます。顿狈础分析や情报科学的手法の発展によって、生物种间ネットワークの动态が徐々に明らかになってきているため、さまざまなタイプの生态系のそれぞれにおいて、システム全体の柔软性?顽健性を高める键を见出していくことができると期待されます。
本研究成果は、2024年3月5日に、国際学術誌「PNAS Nexus」に掲載されました。

「自律的に自分の役割を変化させる人の多い柔软な组织と、各自が縦割りの领域内で硬直的にしか动かない组织とでは、パフォーマンスも危机に対する顽健性も、格段に违います。システム全体の柔软性を高める働きを担う要素をネットワーク构造の中から见出すことで、生态系の安定性と机能に関する理解が深まっていくと期待しています。」
【顿翱滨】
【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】
【书誌情报】
Hirokazu Toju, Sayaka S Suzuki, Yuki G Baba (2024). Interaction network
rewiring and species’ contributions to community-scale flexibility. PNAS
Nexus, 3(3):pgae047.