私たちは、食料を提供してくれる人や日常的に世话をしてくれる人に亲しみを感じます。子供やペットにとって、こうした人々の颜を覚えることは生き延びるために重要です。これまでの研究から、长期の経験に基づく学习によって物とその価値を结びつけるには、脳の深部にある大脳基底核、特に线条体尾部が重要な役割を果たすことが知られています。しかし、このメカニズムが、日常生活のような、実験室环境とは异なる复雑な社会的状况でどのように机能するかは不明でした。
網田英敏 ヒト行动进化研究センター特定准教授、國松淳 筑波大学助教らの研究グループは、サルに、親しい人と親しくない人の顔写真を見せ、その際の線条体尾部の神経活動を記録しました。その結果、物の価値を覚えるのと同じメカニズムで、親しい人の顔も脳に記憶されることが明らかになりました。
サルに対して、1年以上にわたって日常的に世话してくれている人と、会ったことのない人の颜写真を提示し、线条体尾部の神経活动を记録したところ、亲しい颜には强く反応し、亲しくない颜には弱く反応することが确认されました。また、同じ神経细胞が、物の価値の大小に対しても同様に反応することが确认されました。この神経细胞は、価値が高いものを素早く见つける行动にも関わっていることから、子供やペットが素早く亲しい人を见つけることにも関与していると考えられます。
本研究成果は、脳が社会的な绊を形成し维持するメカニズムの理解を深めるものであり、线条体尾部を含む大脳基底核の障害による疾患(パーキンソン病など)の理解や治疗にも役立つ可能性があります。
本研究成果は、2024年5月22日に、国际学术誌「颈厂肠颈别苍肠别」にオンライン掲载されました。

本研究で行なった実験の概要:础.サルにとって亲しい人の概念図。叠.线条体尾部の位置と本研究结果の概略。
「今回の発见によって、「颜」と「その人に対する亲しみ」を纽づけている脳领域が明らかになりました。今后さらに详细なメカニズムを理解することで、将来的に、亲しい人を识别できなくなった方が昔の记忆を取り戻し、身近な人への亲近感を再び感じられるようになる治疗法の开発が期待されます。」
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【书誌情报】
Jun Kunimatsu, Hidetoshi Amita, Okihide Hikosaka (2024). Neuronal response of the primate striatum tail to face of socially familiar persons. iScience, 27, 6, 110043.