都市化や地球温暖化の影响によって、都市型の気象灾害の激甚化が悬念されています。中でも、豪雨灾害は毎年のように繰り返し発生することから、その対策は社会的に重要な课题です。
入江健太 防灾研究所研究員(現:日本原子力研究開発機構研究員)と竹見哲也 同教授の研究グループは、都市型豪雨災害の軽減を目標として、夏季の午後に急速に発達する積乱雲とそれによる局地的な降水を制御するには、ビルや地面からの熱の放出量を都市部において削減することが有効であることを、スーパーコンピュータを使った計算機シミュレーションによって明らかにしました。
シミュレーションでは、ビルからの熱排出や道路からの熱放出を削減することを想定し、都市部での排熱量を徐々に削減した時に、夏季の午後に生じる積乱雲の発達とそれによる局地的な降水がどのように変化するのかを調べました。大阪都市部で生じた局地的な降水事例を対象として分析した結果、20 km四方の範囲で排熱を10%削減すると、上位0.1%の強さの降水が9%、降水の積算量が18%削減でき、排熱量の削減率を大きくするほど、降水の強さや量を徐々に減少させることが可能であることを示しました。
今后は、局地的に强い降水が予测される场合に、いつ?どの范囲で?どの程度の量で排热を削减すれば効果的に降水の强さや量を制御できるのか、といった研究が必要です。
本研究成果は、2025年5月12日に、国際学術誌「Theoretical and Applied Climatology」にオンライン掲載されました。

「都市化や地球温暖化の影响により、都市での大気环境が変化を続けています。これまでの想定を超える豪雨が起こる可能性も否定できません。豪雨灾害を抑止?軽减するためには、予测精度向上や防灾情报伝达といったアプローチに加え、将来の気候変动も见据えた中长期的な技术开発も大切です。本研究では、変动する都市环境に适応する手段として、新たに気象制御の考え方を提案しました。」
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【书誌情报】
Kenta Irie, Tetsuya Takemi (2025). Effects of modifying surface sensible heat flux on summertime local precipitation in urban areas of Osaka, Japan. Theoretical and Applied Climatology, 156, 6, 308.
日刊工業新聞(5月13日 25面)、読売新聞(5月13日 夕刊8面)に掲載されました。