坂口浩司 エネルギー理工学研究所教授、小島崇寛 同助教、中江隆博 同助教、宋少堂 同博士課程学生らの研究グループは、生物を模倣した従来に無い触媒反応を開発し、エネルギー?半導体応用が期待される機能性炭素細線(炭素ナノリボン)の合成に成功しました。合成された新種の炭素ナノリボンは優れた電気特性を持ち、次世代半導体材料や太陽電池としての応用が期待されます。
本研究成果は英科学誌「Nature Chemistry」のオンライン版に2016年9月27日午前0時に掲載されました。
研究者からのコメント
左から、坂口教授、小岛助教、中江助教、宋博士课程学生
今回の成果は、「生物の原理を利用して先端机能材料を作る」と言う生物、材料科学の全く异なる二つの分野を结びつける新しいコンセプトに基づく研究であり、今后さまざまな种类の机能性炭素ナノリボンの合成が达成され、次世代半导体やエネルギー分野での応用研究が飞跃的に加速するものと期待されます。また、本研究で见出された新しい表面触媒反応は、従来の定説を覆す概念であり、新たな学术分野の展开が期待されます。今后は、「生物模倣型触媒反応」を発展させ、未踏の炭素ナノリボンの合成と机能评価、特に磁性机能を目指した新しい炭素材料の开発に取り组む予定です。
概要
従来の炭素ナノリボン合成法では、原料分子を超高真空中で高温に热した金属基板に吹きかけて化学反応させる超高真空ボトムアップ合成法が用いられてきました。しかし「単纯な构造を持つ原料分子」では成功するものの、优れた电子机能が理论予测された新种の炭素ナノリボンを作るために必要な「复雑な构造を持つ原料分子」では、化学反応を妨げる「乱れた高分子」を形成するため未成功でした。
今回开発した「生物模倣型触媒反応」では、「窜文字」の形をした复雑な形を持つ原料分子を设计し、本研究グループが开発した2ゾーン化学気相成长法を用いることで、悬案の问题を解决しました。本方法のポイントは、原料分子が金属上で「特殊な形(不斉)」に変形し、自発的に形を识别して「直线に整列した高分子(不斉高分子)」に自発的に组み上がり、高い効率で新种の炭素ナノリボンに変换する酵素类似の触媒反応を开発した点です。この新种の炭素ナノリボンは、高いキャリア移动度を示し、优れた半导体特性を示すことが明らかになりました。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Hiroshi Sakaguchi, Shaotang Song, Takahiro Kojima, Takahiro Nakae. (2016). Homochiral polymerization-driven selective growth of graphene nanoribbons. Nature Chemistry, Published online 26 September 2016.