认知症に対する新たな生体防御机构の発见?アストロサイトの罢搁笔础1活性化が、尝滨贵产生を介して白质伤害や认知机能障害を防ぐ?

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 アルツハイマー病や血管性认知症をはじめとする认知症は、超高齢社会を迎え、患者数の増加が大きな问题となっています。认知症の病态においては、高血圧?糖尿病?脂质异常症などの生活习惯病が危険因子として知られており、最终的に神経细胞死に至ります。近年、その过程の病态メカニズムとして、生活习惯病による动脉硬化と血管狭窄により、脳が慢性的な低血流状态におちいり、髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトの机能异常や细胞死である「白质伤害」が起こり、神経细胞死に至る前の段阶で、认知机能障害などの神経机能异常を引き起こすことが明らかになりつつあります。しかし、そのメカニズムにはまだ多くの未解明な点があり、さらに生体が持つ防御机构についてもほとんどわかっていませんでした。

 白川久志 薬学研究科准教授および抱将史 同博士課程学生(現:和歌山県立医科大学助教)らの研究グループは、シナモン主成分のシンナムアルデヒド(CA)やワサビ主成分のアリルイソチオシアネート(AITC)、そして温和な熱や活性酸素種(ROS)にも感受性のあるTRPA1チャネルの遺伝子欠損マウスを用いて、脳血流を慢性的に低下させることで白質傷害をへて認知機能障害に至る「血管性認知障害」の病態モデル(慢性脳低灌流BCASモデル)を作製し詳しく調べたところ、BCAS手術によりTRPA1遺伝子欠損マウスでは、対照群の野生型マウスよりも早期に白質傷害および認知機能障害がおきることを発見しました。さらに詳細に調べたところ、脳で最も多いグリア細胞であるアストロサイトに発現しているTRPA1の活性化が、髄鞘形成促進作用を持つサイトカインである白血病阻止因子(LIF)の産生を介してオリゴデンドロサイト前駆細胞を分化させて白質傷害を抑制していること、シナモン主成分であるシンナムアルデヒド(CA)でTRPA1を刺激し続けると白質傷害が抑制されて認知機能障害がおきなくなることを見いだし、アストロサイトのTRPA1活性化が、認知症に対する生体防御機構として働いていることを明らかにしました。

 慢性脳低灌流状态から白质伤害を経て认知机能障害に至る病态メカニズムは、多くの型の认知症において発症や病态増悪に深く関与していると考えられていることから、アストロサイトの罢搁笔础1チャネルや尝滨贵が関与する経路は、认知症に対する新たな创薬标的になることが期待されます。

 本研究成果は、2023年7月21日に、国際学術誌「Science Advances」に掲載されました。

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研究者のコメント
「最近、アルツハイマー型认知症は、アミロイドβに対する抗体医薬品の新薬承认により大きな话题となっていますが、アルツハイマー型认知症を『脳血管障害』と捉える研究もまた、注目を集めています。しかしながら、このような脳血管障害としての病态にどのように対処すべきか、どのような治疗薬を开発すべきか、という点は意外なほどに未解决のままです。今回の研究では、脳内で最も多く存在するグリア细胞であるアストロサイトが、罢搁笔础1活性化から尝滨贵产生、そして翱笔颁の分化促进というメカニズムにより、叠颁础厂モデルにおける白质伤害を防ぎ、最终的に认知机能障害への进行を抑制するという、白质に対する新たな保护机构を担っていることを明らかにすることができました。今后は、ファミリー分子の関与を详细に调べると共に、他の认知症动物モデルと组み合わせることで、认知症の発症机构や防御机构の全体像に迫りたいと考えています。」(白川久志)
研究者情报
研究者名
白川 久志
书誌情报

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【书誌情报】
Masashi Kakae, Hiroki Nakajima, Shota Tobori, Ayaka Kawashita, Jun Miyanohara, Misa Morishima, Kazuki Nagayasu, Takayuki Nakagawa, Eiji Shigetomi, Schuichi Koizumi, Yasuo Mori, Shuji Kaneko, Hisashi Shirakawa (2023). The astrocytic TRPA1 channel mediates an intrinsic protective response to vascular cognitive impairment via LIF production. Science Advances, 9(29):eadh0102.