保护色によるカモフラージュは、捕食を免れるための手段として幅広い生物で知られています。ナマコウロコムシは、ナマコ类の体表に寄生するゴカイ类ですが、复数の种を宿主として利用し、惊くべきことに各个体が利用する宿主种と同じ体色(黒、白、茶など)を持ちます。この宿主特异的な保护色が、种内の可塑性によるものなのか、宿主ごとへの遗伝的分化に起因するものなのか不明でした。
杉山高大 理学研究科博士課程学生(研究当時)、後藤龍太郎 フィールド科学教育研究センター助教、朝倉彰 同特任教授、下村通誉 同教授、小林元樹 大阪教育大学特任講師、Chloé Julie Lo?s Fourreau 琉球大学博士課程学生、James Davis Reimer 同教授、濱本耕平 愛媛大学助教らの研究グループは、琉球列島において14種のナマコ類から本種を採取し、各個体と宿主の体色の一致パターンを明らかにするとともに、ミトコンドリア遺伝子およびゲノム情報(SNPs)の比較により、宿主特異的な保護色が遺伝的分化に基づくものでないことを示しました。この結果は、宿主に応じたカモフラージュが種内の可塑性によって達成されていることを示しています。
本研究成果は、2025年12月10日に、国際学術誌「Marine Biology」に編集長が選ぶハイライト論文として掲載されました。
「今回の研究によって、ナマコウロコムシは遗伝的分化ではなく种内の可塑性によって宿主に体色を合わせていることが确かめられました。ではどのようなメカニズムで巧みに様々な体色の宿主と体色を一致させることができるのでしょうか、その不思议に兴味が尽きません。详しいカモフラージュのメカニズムを今后明らかにしていけたらと思っています。」(后藤龙太郎)
「多くの海洋生物において、色々な環境に生活する種が実際はよく似た複数の隠蔽種を含むという例が、DNAを用いた研究を通して多く報告されている。しかしながら、ナマコウロコムシの場合は単一種でありながらも体色を変え、多くの宿主上で生活できるよう適応していることが、今回の研究から明らかになった。環境に対して柔軟に適応する、海の生き物の在り方には驚かされる。」(Chloé J.L. Fourreau)
「ナマコに共生する生物は多く知られ、他にもナマコマルガザミやセトモノガイ、カクレウオなどが有名です。今回発见された知见が、こうした他の生物にも当てはまるものなのか、はたまた异なるのか、そもそもどのように生殖?分散を行っているのか…ナマコと共生生物を巡る冒険は、まだまだ続きそうです」(滨本耕平)