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2017年春号
研究室でねほりはほり
村山美穂先生
野生动物研究センター 教授
村山美穂 むらやま?みほ
1964年に兵库県に生まれる。1992年、京都大学大学院理学研究科霊长类学専攻修了。畜产技术协会附属动物遗伝研究所研究员、岐阜大学农学部助手、岐阜大学応用生物科学部准教授をへて、2008年から现职。
1953年に顿狈础の二重らせん构造が発见されて以降、ヒトに関する遗伝子研究は进展しつづけている。実験动物や家畜动物の遗伝子研究も、はやくから进んでいるが、野生动物を対象とする研究は始まったばかり。目视での観察がむずかしい野生动物でも、彼らが残した毛や排泄物から抽出した遗伝子情报を手がかりに、性格や行动特性の个体差を把握できるという。村山美穂教授は、フィールドでの细やかな観察と、実験室での緻密な検証をくり返すなかで、动物たちの个性を见极める新しい〈ものさし〉を手に入れた
亲から子に伝わる遗伝情报は、约30亿个の塩基対の配列からなる。亲と子、兄弟であっても、遗伝子情报はまったく同じではない。ヒトのあいだで平均すると、すくなくともそ0.1%の300万个は、个体ごとに违うという。「このわずかな差が、身体的特徴や体质、性格や行动パターンなどの个体差を生みだしています」。村山美穂教授のおもな研究対象は、ヒトにもっとも近い霊长类のチンパンジーから、ゾウ、イルカ、イヌワシまで、さまざまな野生动物たち。
同种であっても个体ごとに遗伝情报が异なることを「遗伝的多様性」という。多様性が「高い」とは、その违いにたくさんのバリエーションがあるということ。容貌や体型だけでなく、暑さや病原菌への耐性など、环境への适応力も异なる多様な〈个性〉が混じっていれば、生息环境の変动や、病気の蔓延などに遭遇しても全灭を回避できる确率があがる。「絶灭危惧种の保全がたいせつなのは、个体数の减少が遗伝的多様性の低下に直结するからです。母数が减れば、近縁どうしで交配する频度が高まり、遗伝子のさらなる画一化がすすみます」。
遗伝子解析をつかえば、血縁関係を厳密に判定することが可能。「血縁的にできるだけ远い个体を选んで交配?繁殖させれば、遗伝的多様性を保ちながら、个体数を増やせます。野生下での生息数が激减して多様性が低下している动物たちを、动物园で繁殖させることができれば……」。
村山教授のもう一つの研究テーマは、野生动物の个体ごとの性格や行动の违いを生み出す遗伝子の解明。たとえば同じ种类のイヌたちは、体型や毛并みは似ていても、人间をおそれない个体もいれば、なかなかなつかない个体もいる。どんな种类の动物でも、〈ふるまい〉には个体差がある。「ヒトの个体差の研究では、同じ遗伝情报をもつ一卵性双生児を対象にした厖大な调査データから、性格の形成には、どんな生活环境下で育ったかという〈环境要因〉だけでなく、もって生まれた〈遗伝要因〉も大きく影响するとわかっています」。
动物の性格の违いは、健康状态や繁殖行动と深く関わっているという。「ことばで理解しあえるヒトとは违い、动物の性格を客観的に判断できる手段はかぎられています。遗伝情报から动物の性格や体质がわかれば、繁殖ペアの相性や、ストレスへの抵抗力を类推し、ふさわしい饲育环境を用意できる。ゾウやイルカ、イカなど、饲育や繁殖のむずかしい动物に技术を适用できれば、その意义は大きいはず」。
村山教授の研究の原点は、霊长类の调査に兴味をもち、「嵐山モンキーパークいわたやま」に通い続けた学生时代にさかのぼる。「来る日も来る日も山に登り、ニホンザルを観察していたら、サルたちは日に1、2回の频度で、地面の土を食べることに気づいたんです。しかも、どのサルも同じ场所を掘るから、穴はどんどん深くなる」。そこだけ成分が违うのかもしれないと、土を持ち帰って分析したが、さほどの违いはなかった。
「不思议なことにこの行动は、2头以上のサルがともにいるときによく起こるんです。重要なのはその场所の土の成分ではなく、ヒトと同じで、『仲间と食事する』という行為に意味があるのかもしれません」。客観的な物証から観察した事実の理解を深めるような研究がしたい。そんな欲求を抱きつつ、京都大学大学院理学研究科に进学し、霊长类研究所で学んだ。「そこで出会ったのが竹中修先生でした」。生化学の视点から霊长类学を探究する故竹中教授が、进むべき方角を照らした。「竹中先生の指导のもとでニホンザルの父子判定にとりくみ、遗伝子解析という强力なツールを手に入れました。视界がぱっと开けたような思いでした」。
霊长类研究所で磨いたスキルを手に、初めて勤めたのが畜产技术协会附属动物遗伝研究所。食用に饲育される和牛を対象に、霜降り肉の形成に関连する遗伝子の解明にとりくんだ。充実した日々だったが、头の片隅にはいつも、「动物たちの社会行动の背景をもっと知りたい」という思いがあった。
「良质の霜降り肉に仕上げるには、饲育方法を工夫したり、饲料の成分を改良するなど、环境要因も重要ですが、ブランド牛に象徴されるように、血统すなわち遗伝要因の影响は大きいんです。そしてひとつの形质にたくさんの遗伝子が复雑に関わっている。动物の行动の背景も、环境要因と遗伝要因との両方が関係している。ここにピンときました。动物の行动を遗伝子という新しい〈ものさし〉で読み解く研究手法をイメージできたんです」。嵐山でニホンザルを眺めつつ抱いた、「なぜこんな行动をするの」という素朴な疑问を解决できる键がようやく见つかった。
ガーナ中部の叠辞补产别苍驳-贵颈别尘补モンキーサンクチュアリのモナモンキー。地域の人々が神の使いとして大切にしているため、人を恐れない。粪から顿狈础を抽出して多様性を调べている
グラスカッター
アフリカのガーナ共和国も、村山教授のフィールドの一つ。ここ10年で人口が3割増加したガーナは、深刻な食粮不足に见舞われ、とくに动物性タンパク质が不足。现地では、げっ歯类の仲间、野生のグラスカッターの肉が、牛肉や豚肉よりも好んで食べられているが、狩猟による生态系への影响が问题视されている。村山教授は2014年から、ガーナの贫困と环境问题を解决しようと、ガーナ大学と共同で、グラスカッターの家畜化に挑戦している。
遗伝子解析のノウハウを応用し、饲育しやすい、おとなしい性格の个体を选抜する方法も见出した。地元をまわり、饲育に协力してくれる农家を探した。ガーナの担当者を日本に招き、獣医学研修も実施した。ガーナ大学と二人叁脚の取り组みは実を结び、「饲育农家は40轩以上に増えました。饲育下での繁殖が课题でしたが、2015年に初めて出产に成功し、いまでは11轩の农家で、第二世代が育っています」。
実験室でじっくりと遗伝子解析にとりくみながら、海外のフィールドや国内の动物园などに足を运んで、みずから五感をつかって动物を観察することも怠らない。「学生时代に、『现场を见なさい』と叩き込まれたことが染みついています。野生のサルの动く速さに追いつけず、置いてゆかれた苦い経験があります。(笑)でも、あきらめずに追いつづけたからこそ、この研究スタイルにたどりついた。経験こそが私の宝物です」。
ガーナ共和国のモレ国立公园での调査。ガーナ最大の野生动物保护区で、90种以上の哺乳类や约300种の鸟类など、多くの野生动物が生息する
ガーナ大学の学生を京都大学にむかえ、グラスカッターの肠内细菌の遗伝子解析実験を指导
研究で海外をおとずれることも多く、留学生も受けいれていますから、多国籍な置物が増えます。ピラミッドはエジプト出身の研究生のお土产。彼はいま、エジプトの在来家畜であるラクダの性格を研究中です。
いくつかのガーナの农家に协力いただいて、食べたものを记録してもらっています。グラスカッターを饲って、生活がどう変わったかを调査するものです。
イギリスの共同研究者からお土产にいただいた茶叶です。
秘书さんから、茶道を教えてもらいました。茶碗は友人である漫画家の清原なつのさんがつくったものを爱用しています。彼女はグラスカッターのイラストを描いてくれました。イラストはマグカップや罢シャツなどの启発品にプリントしてガーナで配布しています。
清原なつのさんが描いてくれた、グラスカッターのイラスト
ガーナで売られている三猿の置物です。日本で「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿といえば、日光东照宮の神厩舎を飾るニホンザルの彫刻が象徴的ですが、ガーナでこのポーズをとるのはチンパンジーなんです。
グラスカッター?プロジェクトの発案者、カヤンさんの息子さんが私のために絵を描いてくれました。カヤンさんとは、私が助手を务めていた岐阜大学に留学生としてやってきて以来、共同研究をつづけています。
本などが増えて、どうしても杀风景になりますから、窓にシールを贴ったり、壁に动物の幕をかけたり、和むようにアレンジ。自宅の庭で育てているバラを饰っています。
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