授業に潜入!おもしろ学問 ルイーサ?ツァイルホーファー 講師 - 京都大学広报誌『红萠』

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授業に潜入! おもしろ学問

2023年春号

授業に潜入! おもしろ学問

外国語科目群/ドイツ语Ⅰ ドイツ语演習ⅠB
21世纪を生き抜く力を磨く新しい言语教育

ルイーサ?ツァイルホーファー
国际高等教育院 講師

京都大学の全ての1回生が履修する「初修外国语(英语以外の外国语)」。対象の言语は、ドイツ语、フランス语、中国语、ロシア语、イタリア语、スペイン语、朝鲜语、アラビア语の8言语。京都大学の言语教育は、言语の技能を磨くだけにとどまらず、异文化や异なる価値観への想像力のかんよう にも価値を置いてきた。しかし、近年の础滨翻訳技术の着しい进歩に伴い、语学教育の现场は転换期にあるという。ドイツ语を担当するツァイルホーファー讲师は、学生の好奇心や自主性を引き出して、技能习得の枠を超えて情报を见极め判断する能力を身に付けてほしいと、新たな授业スタイルに挑戦する。

 言语翻訳の世界は、この10年で大きく変わりました。かつては文章中に分からない単语があれば逐一、辞书を引いて意味を调べていました。しかし、今はスマートフォンのアプリを开き、文章の上からスマートフォンをかざせば、瞬时に翻訳文が画面に表示されます。おおよその意味を知るだけなら、これで十分です。
 现役の学生の中には、「こんなに翻訳机能が进化しているのに、どうして初修外国语を学ばなければいけないの?」と不満に思う人もいるはずです。にもかかわらず、言语教育の手法は今なおオールドスクールであることが少なくありません。文法の讲义や翻訳を中心にした授业手法が、初めてその言语を学ぶ学生のモチベーションの维持や向上に役立っているのか、疑问に感じました。というのも、私の出身のドイツでは、言语の授业は最初からとにかく会话をします。初めは闻いても一切理解できなかった未知の言语がだんだん言叶として分かるようになっていくことが楽しくて、言语への兴味が高まり、言语を学ぶ意欲に繋がっていきました。

翻訳技术があるからこそ、必要なのは一段上の语学力

 翻訳アプリや础滨翻訳などの翻訳技术は、とても便利で、これを无视した言语学习は不自然。私の授业では、翻訳机やスマートフォンの使用は禁止しません。だからといって、「それなら简単だ」と思うのは大间违い。翻訳机が使えるからこそ、「ワンランク上」の语学力が求められます。
 础滨翻訳で9割は正しい翻訳が得られたとしても、あとの1割について、时にとんでもない误訳が混ざることもありえます()。「私の伝えたいことはこれで十分に表现できているだろうか」と考える、ここには〈力〉が必要です。翻訳机の普及する现代だからこそ、何が正しいのかを判断し、见抜く力は不可欠です。
 この力が必要なのは、なにも言语学习だけではありません。现代は、デジタルの世界に情报があふれ、受け取った情报が信用できるものかどうかを见抜く力や、情报を多面的な角度から検証する力が求められています。
 デジタル时代に生きる学生が身に付けるべきこうした能力を「21世纪スキル」と言います()。多くの机関や组织がそれぞれに重要とするスキルをまとめています。
 様々な分野の基础的なリテラシーや、あらゆる问题への対処时に必要となるリーダーシップや考え方の能力など、必要とされるスキルは多岐にわたりますが、中でも、特に注目されるのが「4颁」と呼ばれるスキルです()。事実を见极める「クリティカル?シンキング」、型にはまらない新しいアイデアを创造する「クリエイティビティ」、そのアイデアを的确に伝える「コミュニケーション」、他者と协力関係を筑くための「コラボレーション」の4つは、机械に代替できない能力だと言えるでしょう。

 とんでもない误訳の例

ドイツ语 Rede nicht um den hei?en Brei herum! (正しい訳)遠回しに言わないで!
础滨翻訳础と础滨翻訳叠 础:谁もが茂みについて话している 叠:みんな叩いている/叩くなよ!
翻訳された日本语を、
础滨翻訳础を使い、
ドイツ语に再変換
alle reden von Büschen Alle haben es geschafft. / Schlagen Sie mich nicht!
さらに日本语に再翻訳 みんなが茂みについて话している みんなできました/叩かないで!

 21世纪スキルの例

様々な机関や组织がまとめている21世纪スキルの一例。水色の丸は、ツァイルホーファー讲师が考える21世纪スキルの例。

 学生に必要とされる4つのスキル「4颁」

CRITICAL THINKING

主张を疑い、真実を追求するスキル

C

COLLABORATION

一人ではできないような优れたものを作り出すスキル

C

问题を多面的に见るスキル

CREATIVITY

C

アイデアを効率よく伝え、意思疎通するスキル

COMMUNICATION

C

语学力を磨きながら、将来に生きるスキルを习得する

 4颁の习得方法として私が実践するのが「プロジェクト型学习(笔叠尝)」です。一つの目标を掲げ、その达成を目指してチームで取り组みます。大枠の流れは提示しますが、具体的な方法は学生に委ねます。
 PBLの実践には様々なパターンがありますが、後期の「ドイツ语演習」では「ポスタープロジェクト」を取り入れています。少人数のグループごとにドイツ语のポスターを作成し、授業の終盤には掲示して、ドイツ语と日本語で発表します。
 ポスターのテーマは様々です。医学部の授業では「血液」、「遺伝子」、「免疫力」などの医学に関連したテーマを設定し、学会発表を想定したポスターの作成を目指しました。工学部の授業ではテーマは指定せず、学生の興味?関心に任せたところ、ドイツのサッカーチーム、ドイツの音楽、ドイツと日本の教育の違いなど、話題は多岐にわたりました。調べた情報をドイツ语で要約し、ドイツ语で発表するので、語学力の向上はもちろんですが、自分の興味?関心に基づいてテーマを決めるため、積極性も高まり、モチベーションも続きやすいという効果もありました。
 チームの中で力を合わせるので、自ずと役割が生まれることも興味深い点です。ドイツ语が得意な学生は文献調査や執筆に力を発揮しますし、ドイツ语が苦手でもリーダーシップをとって方針をまとめたり、ポスターのデザインなどの視覚化に力を注いだり、それぞれの特性を活かしてチームに貢献しているのを目にします。こうした力も「21世紀スキル」の重要な要素です。

「楽しい」が奥深き言语の扉を开く

 従来の授業スタイルで私が危惧したのは、学生が言語学習に苦手意識を持ってしまうこと。楽しみながらドイツ语に触れて、言語の面白さに気がついてほしいのです。授業では英语とドイツ语とを比較するなど、言語の奥深さを伝えられないかと工夫しています()。
 この2つの言語は同じ起源にさかのぼり、単語の語源をたどると古代ギリシア語とラテン語の同じ言葉に行きつくことも。ドイツ语の視点を通して英语の特徴を発見する瞬間には、学生たちの目も輝きます。「面白そう」のスイッチが入れば、あとは自主的に掘り下げる力を持つのが京大生です。そうなれば授業は大成功。
 今日は「ドイツ语演習」を例にお話ししましたが、京都大学は日本の国立大学の中で初修外国語の選択肢がとても多い大学。大事なのは興味と好奇心。興味の赴くまま、新たな言語への扉を開いてください。

 英语とドイツ语の比較の例

英语 ドイツ语
activate aktivieren
concentrate konzentriere
cooperate kooperieren

英语cはドイツ语だとk
ateierenになるんだ!

パターンを発见したよ!

みなさんももちろん知っていると思いますが、テレビは英语でtelevisionです。この言葉を分解してみるととても興味深いことが分かります。teleは古代ギリシア語で「遠い」を意味します。visionはラテン語に由来していて「見る」という意味です。だから、「遠くを見ることができる」の意味でtelevisionになるのです。このことから、telescope(望遠鏡)、telephone(電話)など、「遠く」と関係するものにteleが使われることが分かりますね。ドイツ语ではテレビはFernsehenです。Fernは「遠い」、sehenは「見る」という意味。英语と同じく、分解してみると共通点が見えてきますね!

2022年12月23日(金)

授业の集大成!
ドイツ语でポスターを作り、発表しよう

年の瀬も近づき、冷たい風が吹く昼下がり、この日の「ドイツ语演習」は4月から約8か月学んできたことの集大成。グループごとにテーマを一つ決め、調べた内容をドイツ语でポスターにまとめてプレゼンテーションする。

プレゼンテーションの流れ

ドイツ语で30秒間の概要説明 → 日本語で6分間、ポスターの内容についてプレゼンテーション → 2分間で発表の評価

 评価は、「オーディエンスの目线を考えた発表ができていたか」、「ポスターはクリエイティブか(色の使い方、理解を助ける図表?画像、デザインの工夫など)」、「家に持ち帰れるような情报はあったか」を10段阶で评価。グループごとに话し合って评価を决め、ウェブのアンケートフォームから提出する。
 オーディエンスを引きつける工夫は多种多様。かっこいいデザインで発表前から视线を引きつけるグループもあれば、话术一本、笑いを交えながら、漫谈のように発表を进めるグループもある。かならずしもグループ全员が発表するという决まりはなく、话术に长けた学生一人に発表を任せ、その他のメンバーはポスター作成や情报収集などに彻するなど、役割分担が明确なグループも。
 どんな情报を発表に盛り込むのかにも学生の工夫の跡が见てとれる。「ソーセージとウィンナーの违いはなんでしょうか」と「知っているようで知らない」投げかけに头をひねって考えたり、「ベートーヴェンの惊きのコーヒーの淹れ方」などのトリビアに惊いたり、クイズ形式でオーディエンス参加型の発表をしたり、その方法は様々。饱きさせない工夫が散りばめられ、6分间の発表はあっという间だ。

Zeilhofer, Luisa Lorena Franzine
Bayern(バイエルン州)出身。ミュンヘン大学DaF学科修了。専門は外国語としてのドイツ语、外国語習得論、教育心理学、マインドフルネス。

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