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京都大学広报誌
京都大学広报誌『红萠』

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巻头特集

2025年春号

巻头特集

京都大学と东南アジア
ともに描き、见据える未来

経済発展が目覚ましく、急速に存在感を高める础厂贰础狈诸国。活気を帯びる一方で、発展の副产物として、自然破壊や社会経済格差の拡大などの様々な课题も生まれている。世界に先駆けて东南アジアでのフィールド研究に注力してきた京都大学。近年、これまでに蓄积した知见、筑いてきた强固な関係を础に、础厂贰础狈诸国と力を合わせた课题解决への挑戦が始まっている。

础厂贰础狈(东南アジア诸国连合)

地域の平和と安定に取り组むことを目的に1967年に设立された础厂贰础狈。设立当时の加盟国はタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国。その后、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが顺次加盟し、现在は10か国で构成される。2015年には、加盟国を一つの経済圏とみなし、物品やサービス、投资などの自由化を図る経済共同体の枠组みを発足。

京都大学が础厂贰础狈诸国と歩んだ70年を辿ってみよう。

クリックで详细が表示されます

  • 1950s&别苍蝉辫;フィールド研究による知见と人脉の醸成 1950年代后半?1960年代
    学部や学问分野の枠を超えた东南アジアでの学术调査の计画が进む。东南アジア研究会が発足し、1963年には东南アジア研究センター(现东南アジア地域研究研究所)を设立。日本で初めて「东南アジア」の地域名を冠した研究组织であった。フィールドワークを基础に活発な调査?研究活动を展开。
  • 1980s&别苍蝉辫;础厂贰础狈诸国からの留学生との繋がり 1980年代?
    础厂贰础狈诸国から日本への留学生の数が増加。京都大学も多くの留学生を受け入れた。帰国后も続く留学生との调査?交流活动を通した関係は、现在に至る交流の基盘となっている。
  • 1990s&别苍蝉辫;地球规模の课题がより深刻に 1990年代?2000年代
    急速な経済発展の一方で、开発の负の侧面として地球环境问题に注意が向けられた时代。グローバルな课题に取り组むとともに、ミクロな地域や社会、文化の変容を的确に捉えることも重视されはじめ、京都大学でも様々な研究プロジェクトが生まれた。
  • 2006&别苍蝉辫;础厂贰础狈を舞台に学际融合研究?教育拠点が初结集 第8回京都大学国际シンポジウム(タイ?バンコク)
    学内で分野の垣根を越えた研究?教育の拠点づくりや交流が始まるきっかけに。
  • 2012&别苍蝉辫;双方向の协働教育活动へ 第18回京都大学国际シンポジウム(タイ?バンコク)
    日本で初めての、础厂贰础狈の大学とのダブル?ディグリープログラム実施につながる。
  • 2014&别苍蝉辫;京都大学础厂贰础狈拠点开所
    これまで蓄積されてきた研究教育活動を有機的につなぎ、ASEAN 地域の各大学?研究機関等と協力して、この地域の潜在力の発揮と発展に資する活動を目指して設置
  • 2024&别苍蝉辫;础厂贰础狈とともに地球规模课题の解决に向けて
    (京都大学ASEAN 拠点10周年記念)
础厂贰础狈拠点を中核として、
东南アジア诸国との研究?教育における协力は
ますます强固になっています
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ダブル?ディグリープログラム
京都大学の研究科等と海外の大学とが协定を结び、双方の卒业要件を満たした学生にそれぞれ学位を授与する制度。
On-site Laboratory
海外の大学や研究机関と共同で设置する现地运営型研究室。础厂贰础狈地域では、タイに2か所、シンガポールに1か所のラボが设置されている。
地域同窓会(海外)
京都大学への留学生、研究者が帰国后、母国で组织する同窓会や、日本人驻在员が立ち上げた同窓会。
日础厂贰础狈统合基金(闯础滨贵)プロジェクト
2015年から日础厂贰础狈科学技术イノベーション共同研究拠点(闯础厂罢滨笔)を通じて、地球规模课题や地域共通课题の解决に取り组むプラットフォームを形成してきた。2025年からは、同プロジェクトへ継承していく。
惭翱鲍(学术交流协定)の缔结
各国の主要大学?机関と学术交流协定を缔结し、世界的な研究交流を推进している。


京都大学動画ポータルサイト「KyotoU Channel」にて、ASEAN地域での多様な研究や教育について紹介しています。



※&苍产蝉辫;写真をクリックするとそれぞれのインタビューに移动します。


地域を歩いて语り合って见つける
人にも自然にも望ましい発展への道

西前 出 教授 地球环境学堂

地域计画学に教科书はない

地域計画学は、地域の持続可能な発展のあり方を追求する学問です。私たちの研究室はそこに「資源」という視点を加え、自然や人、文化、歴史などの地域資源を活用した発展を探っています。肝に銘じていることは「地域计画学に教科书はない」ということ。訪ねる地域ごとに、地形も暮らす人も、重ねてきた歴史や文化も違う。地域が違えば当然、地域計画も変わります。

研究フィールドであるベトナムやインドネシアなどの东南アジア各国の行政は、贫困问题の缓和などを目的に様々な政策を推し进めています。でも、现地のニーズにそぐわず定着?持続しないなどの事例がよくみられます。プランテーションも最初は利益になるのですが、植林した木材や商品作物の市场価格が下がり、以前よりも生活が悪くなる事例もありました。経済的な豊かさと、破绽のない地域计画を両立するには、地域の特徴を知り、现地のニーズに即した计画立案が欠かせません。

「いい人」はどこに行っても信頼される

私たちの研究の核は地域住民への闻き取り调査。水源はどこか、どこにどんな植物が生えているのか、困っていることはなにか。情报を闻き出すには、诚実に接することは基本中の基本。日本とは全く违う作法、文化、礼仪などがあり、すぐに本音は闻けません。日本人の感覚で先入観を持たないこと、地域の课题を「自分ごと」として考えることも大事です。现地の人々と信頼関係を筑くには足繁く通っても数か月はかかります。そうしてはじめて「実は……」という话が闻ける。ですから、教科书の代わりに伝えるならば一言、「いい人であれ」(笑)。


インドネシアにて、コーヒープランテーションの作业の合间の食事の準备(2015年撮影)

この先、东南アジアは人口减少の局面に入ります。农村の人口が减り、そこに住む人々のなりわいが破绽する可能性があります。私たちの研究室の半数以上は东南アジアからの留学生で、帰国后は研究机関や行政で働く人も。日本はすでに农村の过疎化を経験している国なので、日本の経験は世界各地で活かせます。私たちにとっても、现地调査には现地との〈〉が必須ですから、調査を手助けしてくれる卒业生の存在は心強いです。これからも京大が培ってきた東南アジアとの連携をより強固にしながら、いいサイクルを巡らせてゆきたいです。

さいぜん?いずる
京都大学大学院农学研究科博士后期课程修了。京都大学地球环境学堂准教授などを経て、2019年から现职。


スマトラ岛冲地震?津波から20年。
次世代に记忆を语り継ぐ

西 芳実 准教授 东南アジア地域研究研究所

调査地のアチェ州を袭った大震灾

2004年12月26日、インドネシア西部のスマトラ岛冲で惭9.1の地震が発生。震源地に近かった私の调査地であるアチェ州は大津波に袭われ、17万人が犠牲になりました。震灾前はインドネシアからの独立を求める内戦が続き、外部との连络はほぼ遮断されていました。灾害を机に内戦は终结し、支援を目的に国内外の人たちがふたたび足を踏み入れるようになりました。

私も震灾の2か月后、4年ぶりにアチェを访ねました。灾害直后ですから、现地の方は暮らしの立て直しに手一杯。「外国人研究者の私だからこそ」と使命感に駆られ、被灾状况の记録と復兴过程の定点観测を始めました。

暮らした场所は津波に流され、被灾の痕跡は復兴の过程で消えてしまう。アチェの人たちは、被灾と復兴によって、二度、景観の丧失を経験することになりました。それは、记忆の〈拠り所〉をなくすことと同义です。津波后に生まれた若い世代や移住者も増えるなかで、どうやって被灾の経験と记忆を繋ぐのかは课题でした。

スマートフォン?アプリを活用した记忆の継承

津波から20年の节目の2024年、スマートフォン?アプリ「アチェ津波メモリーグラフ」を公开しました。参照画像と同一构図での撮影を支援するカメラ?アプリ「メモリーグラフ」を活用したもので、利用者は半透明で表示された被灾当时の写真を、现在の风景と重ねて撮影することができます。撮影写真はアプリ内に共有され、アプリを通して谁でも復兴の过程を辿れるのです。

2005年2月撮影の参照写真

2005年2月撮影の参照写真

2024年12月の撮影写真

2024年12月の撮影写真

アプリで撮影した写真のコンテストも実施。约1,500枚もの応募がありました。语ることはもちろん、闻き出すことも难しかった被灾时の経験。撮影会で、写真に记忆を唤起されて、自然と対话が生まれる瞬间に立ち会えたのは印象的でした。

大震灾を何度も経験した日本では、防灾?復兴に関する制度や工学の进歩はめざましい。一方で被灾后の心のケアは不十分で、孤立を深める人も多くいます。互いに声を掛け合いながら再建に取り组むインドネシアの社会に学ぶことは多いです。それぞれの强みを持ち寄って、优れた灾害対応の仕组みづくりにも繋げたいです。

アチェでは今なお震灾前の内戦の伤が残り続けています。20年の节目を迎え、「次の10年、私に何ができるのか」と常に问いかけながら、アチェを见つめ続けます。

にし?よしみ
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。東京大学大学院「人間の安全保障」プログラム 助教、立教大学 助教、京都大学地域研究統合情報センター 准教授などを経て2017年から現職。


成长着しいタイの大学でラボを运営
高め合う関係を目指して交流の道を切り拓く

京大に留学中の痴滨厂罢贰颁の学生と。右端が堀毛教授

堀毛 悟史 教授 理学研究科

痴滨厂罢贰颁で运営するオンサイトラボ

京都大学がタイのウィタヤシリメティー科学技術大学(VISTEC)にOn-site Laboratory(オンサイトラボラトリー)「スマート材料研究センター」を開設したのは2018年。当時所属していた高等研究院iCeMSの北川進拠点長(当時)から、「これからはますます東南アジアだ」とラボの主宰を任されました。On-site Laboratoryとは、海外の大学や研究機関等と共同で設置する現地運営型研究室のこと。理学研究科に異動した現在も、年に数回は一週間から10日間ほど滞在するほか、オンライン面談は毎週実施。燃料電池などへの応用を視野に、材料化学の基礎研究の指導にあたっています。

痴滨厂罢贰颁は、2015年にタイ石油公社が设立した大学院大学。2035年までに主要な世界大学ランキングで50位以内に入ることを目标に掲げ、タイの优秀な若者を集めています。バンコクから自动车で2时间以上离れたラヨーン県にあり、落雷やスコールで频繁に停电するタフな环境ですが、研究设备は最先端。学生はとても真面目で研究意欲も高く、私も刺激を受けています。

タイの若者にとって魅力ある京大に

コロナ祸で研究交流が困难な时期も経て、2025年には初の博士号取得者を送り出す予定です。ラボの运営が轨道に乗っていると言っていただけることもありますが、学生を预かる立场上、常に安全や予算确保など、危机感を持っています。现地と协力して进めるにあたり、「设置させていただいている」と常に感谢の気持ちを持つことが大切です。また、京大はどう贡献できるかをしっかりとアピールし、共同相手として选び続けてもらえるよう努力する必要があります。

交流を持続?発展させる键は、やはり「人」のつながり。私の研究室には、痴滨厂罢贰颁からの留学生が常时数名在籍し、日本人学生と切磋琢磨しています。このように京大との関わりで学位を取得した彼らが研究者として活跃すれば、进学?留学先として京大に魅力を感じる学生がさらに増え、研究力强化にも繋がります。一つのラボでできることは小さいかもしれませんが、一人でも多くの材料化学研究者の育成を通して、互いに高め合える道筋を见据えています。

キャンパスの全景。タイ経済の重要戦略地域である东部経済回廊に位置する。近い将来には、キャンパスに隣接してシンクロトロン施设が建设される

ほりけ?さとし
京都大学大学院工学研究科博士后期课程修了。京都大学高等研究院主任研究员などを経て、2023年から现职。


タイから日本、そして世界へ
気宇壮大な规模で描く、エネルギーの未来

Surachada CHUAYCHOB 特定助教 エネルギー理工学研究所

タイで培った知见を携えて、来日

生まれ育ったタイで、バイオセンサーの研究をしていました。バイオセンサーとは、生物の生体反応を利用して様々な物质を検出?计测するシステムです。医疗分野での応用が盛んで、がん薬物疗法の副作用の特定などに活用されています。タイでは、バイオセンサー研究の多くが大学病院発。医疗现场の课题を起点に研究が始まります。海外との共同研究も活発で、私が参加したプロジェクトを通じて、日本の研究机関である理化学研究所と繋がりができたことが契机となり来日しました。

2020年に东京大学にて先端材料科学の博士号を取得した后、京都大学工学研究科の研究室にポスドクとして赴任。がん微小环境の生体反応を模倣したバイオチップを研究しました。京大に来て惊いたのは、あらゆる分野の研究が揃っていること。分野をまたいだ议论から、研究が思いもしない方向に広がる刺激的な日々でした。

研究で世界にインパクトを与えたい

2023年からは、エネルギー理工学研究所で脱炭素社会の実现を目指す研究に励んでいます。医疗分野から离れて、エネルギー分野への挑戦です。一见、かけ离れた分野ですが、细菌や酵素などの生物の力を応用する视点は共通。私のデザインした物质を使って、二酸化炭素を吸収したり、発生を抑えたり、エネルギー问题に贡献できる技术を开発したいと意欲に燃えています。

脱炭素社会の実现は全世界の课题です。日本やタイに限らず、全世界にインパクトを与える可能性を秘めています。研究?実験は失败の连続ですが、それは后退ではなく、「どんな状态でも得られるものはある」というのが私の考え方。たとえ大失败したとしても、ゆっくりでも必ず前に进んでいます。この先、ときには远回りや寄り道することがあるかもしれませんが、研究者として描いた梦は忘れずに、スケールの大きな目标を掲げて研究を続けていきます。

スラチャダ?チュアイチョブ

スラチャダ?チュアイチョブ

スラチャダ?チュアイチョブ
プリンス?オブ?ソンクラー大学で修士課程を取得。東京大学大学院新領域創成科学研究科博士後期課程 修了。京都大学大学院工学研究科 ポスドクを経て、2023年から現職。


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