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京都大学広报誌
京都大学広报誌『红萠』

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研究室でねほりはほり メイン写真

2016年春号

研究室でねほりはほり

石のドラマに魅せられつづけて半世纪
箱根の石がイトカワの石に化けた

土山 明先生
大学院理学研究科 地球惑星科学専攻 鉱物学講座 教授
※土山の土の正式表记は右上に`

鉱石を持った土山 明先生
つちやま?あきら 1954年、京都市に生まれる。1982年に东京大学大学院理学系研究科地质学専门课程博士课程修了。アメリカ合众国航空宇宙局(狈础厂础)研究员、オレゴン大学地质学教室研究员、京都大学理学部助手、大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻惑星物质学グループ教授などをへて、2012年から现职。研究分野は宇宙鉱物学、陨石学。

2010年6月13日、小惑星探査机「はやぶさ」が七年の任务を终えて地球に帰还。関係者のみならず、日本中の人びとに大きな関心と兴奋をもってむかえいれられた。はやぶさの任务は、小惑星「イトカワ」の表面物质を地球に持ち帰ること。微粒子分析プロジェクトが発足した2005年、土山明教授は持ち帰った物质を最初に分析するチームの一员に选ばれた。「ほんまに帰ってくるのか半信半疑ながらも、この手で物质に触れたいと名乗りをあげました」。はやぶさが持ち帰った约2,000粒の微粒子から、土山教授は太阳系の起源の谜に迫った

「単纯计算で一粒一亿円」。そう言いながらニカッと笑う土山教授。はやぶさが地球に持ち帰った物质のうち、分析可能な大きさのおよそ300粒の粒子一粒あたりの値段だ。「贵重なサンプルなので、むやみに実験でむだにしてから『こうしておけば……』では示しがつきません。10年ちかく、もくもくと分析の準备にとりくみました」。「できる」と确信がえられるまで、予行演习やイメージトレーニングをくり返し、サンプルをむかえる万全の态势を整えた。あとは、はやぶさがぶじに帰还することを祈るのみ。

とはいえ、消息不明、エンジンの不调、サンプル採取の失败と、はやぶさの动向にやきもきする日々がつづいた。「地球に突入するときは、オーストラリアまでお迎えに行きましたよ。打ち上げの日からサンプルの入ったコンテナを开ける日まで、『ほんまにだいじょうぶやろか』と手に汗にぎる瞬间がつづきました」。

10年ちかく真空空间を漂った机体は、汚れの一つもない、地球を飞びたったころのまま。ピカピカのコンテナには、着陆?离脱のさいに回収されたイトカワの微粒子がしっかりと収められていた。「これだけあればかなりのことができる」。练习ではなく、実物のサンプルをつかった分析がはじまる。「なんども练习したはずが、いざほんものをあつかうと手が震える。贵重なものをまえにしても动じない根性が実験にだいじだったとは(笑)」。

3Dプリンターでつくったイトカワ粒子のサンプル模型がおさめられた箱

3顿プリンターでつくったイトカワ粒子のサンプル模型。模型を手にしながら、粒子表面の电子顕微镜観察を行ない、また最终的に粒子のどこを切断して详细分析をするかを决めた

少年時代の土山教授

鉱物少年だった土山教授。10歳のころ、兵库県の中瀬鉱山で鉱物採集。「辉安鉱を採取した记忆があります。1964年当时は、まだ日本中に多くの金属鉱山がありましたね」

陨石は小惑星からやってきた?!

初期分析チームには重要なミッションが一つ课せられていた。几多の研究者が导いてきた「陨石は小惑星からやってきた」という推定を証明すること。推测をささえるのは、対象にさまざまな波长の光をあてたさいの反射率を表した「反射スペクトル」だ。「陨石と小惑星のスペクトルはだいたい同じ。陨石は小惑星からやってきたはずなのです」。条件はそろっているものの、结论づけるには実物の调査が不可欠だった。

さらに研究者たちを悩ませる不明点が一つ。「陨石とイトカワのスペクトルは微妙に违うんです」。その要因に考えられるのが、月面研究で証明された「宇宙风化」だ。大気も水も存在しない宇宙では、地球上とは异なる过程で风化が起こり、表面が変化するのだ。ゴソゴソと研究室の棚を探る土山教授。手には、银色の粒が入った灰色の板が握られている。「これはイトカワと反射スペクトルがもっとも似ている〈普通コンドライト〉という种类の陨石です。はやぶさの持ち帰った粒子が、宇宙风化を受けた普通コンドライトかどうかをあきらかにすることが、ぼくたちのミッションでした」。

土山教授は、粒子を齿线マイクロ颁罢にかけて叁次元构造をコンピュータ上に再现させることで、小さなサンプルの分析をすすめた。その结果、持ち帰ったサンプルが普通コンドライトであること、イトカワの表面で宇宙风化が起こっていることが确认された。

「予想どおりでした。大気のないイトカワの表面に直接に太阳风があたり、表面の约数十ナノメートルの薄い层に宇宙风化が起こる。それが小惑星のスペクトルを変えていたのです」。宇宙研究に迈进する科学者に自信を与える大きな成果だった。「でも、あまりにも予想どおりでおもしろくない(笑)。想定からはずれた意外な结果をおもしろがる思うサイエンティストの自分がいました」。

電子顕微鏡で観察をしている土山教授

物质の微小な组织や构造を観察できる电子顕微镜。音の振动でさえ、试料が吹き飞ぶ原因となるため、壁には吸音材が贴られている

イトカワ粒子の走査型電子顕微鏡写真

イトカワ粒子の走査型电子顕微镜写真。注意深く観察すると、宇宙风化の痕跡も観察できることがわかった

小惑星の表面はアクティブ

しかし、実物のサンプルを见てわかった予想外の姿が土山教授の心を跃らせた。「これは3顿プリンターでつくった1000倍の拡大率の模型です。矢じりのような形をしていますよね(写真1)。イトカワに陨石が衝突した衝撃で、表面の粒子が欠けるからです」。欠けた粒子が多くを占めるなか、土山教授を惊かせたのは表面の丸い粒子(写真2)。「溶けずに丸くなるには、こすれあって摩耗で削るしかない。大気がなく静かなはずの小惑星に丸いものがあるのは惊きました」。土山教授は、陨石が衝突して引き起こされる地震が原因だと推测する。「地面が揺れて、细かい表面の砂がゆすられるうちに丸くなる。小惑星の表面は静かなだけではなかったのです」。

分析されたサンプルは、すべて3顿プリンターの模型がつくられている。「3顿プリンターは最近、廉価になったので话题になりましたが、研究では10年以上前からつかっています」

サンプルは、酸素の影响で物质が変化しないよう、真空状态で保存される。「いまは5つの粒がこの中にあります。だから、5亿円ぶん(笑)」。比较して解析ができるよう、月のサンプルもこのなかに

土山教授と分析チームがあきらかにしたおもな成果は二つ。一つは小惑星イトカワの构成物质がわかり、陨石の起源についてのこれまでの推定が正しいと証明したこと。もう一つは、考えられていたよりも小惑星の表面は跃动的だということ。「この结果が生活にどう役だつのかと闻かれると、答えにつまるのが本音です(笑)。ただ、陨石は地球の原材料物质ですから、その一部がわかった。それから、小惑星が宇宙空间でどう変化して、いまに至るのかがだんだんとみえてきた。长い长い太阳系の歴史のなかの谜が一つ、解けてきたのです」。

石の一生に思いをはせて

「子どものころは宇宙にそれほど兴味がなかった」と笑う土山教授。少年期に梦中になったのは鉱物だった。「小学四年生の夏休みの自由研究で、箱根の大涌谷の石を集めたのです。大涌谷は喷気しているから硫黄がある。硫黄や火山岩を名前もわからないまま持って帰ると、先生が名前を教えてくれたんです。それから趣味は鉱物採集」。そのまま鉱物学の道にすすみ、师匠の导きもあり、大学院から陨石研究を始めた。「発端は箱根の石です。箱根の石がイトカワの石に化けた(笑)」。

土山教授の兴味の原点は、箱根で石を集めた少年期から変わらない。「石のなにに惹かれるんでしょう。同じ鉱物でも形や组织の构造、それぞれに个性がある。それを见ていると、『おまえかわいいね。なんでこうなったんやろうね』って、石につまった时间やドラマを知りたいと思うんです。それは陨石でも同じです」。

イトカワのサンプルをはじめて见たときの兴奋を土山教授はふり返る。「『これがイトカワから日本に帰ってきたんや』という想像力。それがいちばんだいじだと思うんです。はやぶさがサンプル採取をしたのは、太阳をはさんだ地球の向こうがわにイトカワがいたとき。この粒がそこから旅をして、地球に帰ってきた事実に思いをはせると……。そりゃあ手も震えますよね(笑)」。

学部生の授业で使用する鉱物コレクション。「学生たちがより石の性质を理解できるよう、なるべく不纯物の入っていないきれいな石を集めています」

横線

研究室のドアを開けたら

研究室マップ

図中のマルをクリックすると、解説に移动します。

1.ドアに贴られたポスターが目印です

たくさんのポスターが貼られたドア

ドア一面に贴られたはやぶさや宇宙尘のポスターが研究室の目印。左上には、若かりし土山先生の参加した学会のパノラマ写真が

2.引きだしをひけば、研究内容が一目瞭然

模型や資料で埋まっている引き出し

3顿プリンターで作成したサンプル模型や陨石の断片などの资料を保存

3.最近、棚を整理して、使い胜手がよくなりました

教授室の本棚にならべられた本

「趣味は読书。ふだんはミステリーや歴史ものも読みますが、研究室では研究に追われて読む时间がない……」。地球科学の书籍や论文、资料が分野ごとにならぶ

4.石好きの私に奥さんからのプレゼントです

ペグソリティアというゲーム

ペグソリティアという、盘上の驹を一定のルールにしたがって取りのぞくパズルゲーム。「石が好きだから」と、奥さまから结婚前にプレゼントされたという

5.20年间をともにする相棒です

教授が通勤に使っている黄色の自転車

阪急河原町駅から京大まで自転车で通勤。「サドルやミッション、タイヤも替えて、フレームだけが20年前のまま。爱着がわいてなかなか捨てられない(笑)」

6.疲れたときや悩んだときは大文字山をながめます

大文字山が目の前にみえる窓とそれを眺める土山教授

大文字山が目の前にみえる絶景スポット。ざんねんながら、送り火当日は近隣に配虑して、理学部1号馆は立ち入り禁止

7.歴代の教授が受け継いできた贵重な机です

教授室の木の机

「木ですからすごく重たい。変えるつもりはありません」。本来は、本棚などもすべて同じ木でそろえられていたという。「古い家具は京大総合博物馆にひきとってもらいました」

8.3次元データは大容量。サーバがどんどん増えてしまいます

データがつまっているサーバが何台も

「3次元のデータはとても容量が大きい。いくらあっても足りません」。一台あたり20テラバイトから50テラバイトの大容量サーバを常备

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